2022.12.23(金) |
[米ぬかを使った国産たんぱく質] FUTURENAUTとナカリ
クリケット(食用コオロギ)生産に関する共同研究、及び産業化に
向けた検討を開始、新しい食文化の創造をお米×クリケットで実現
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FUTURENAUT(株)(本社群馬県高崎市、櫻井蓮代表取締役)と、ナカリ(株)(本社宮城県加美郡加美町、中村信一郎代表取締役)は、米ぬかを飼料に利用したクリケット(食用コオロギ)の生産に関する共同研究、および産業化に向けた検討を開始した。
米ぬかを飼料に利用して養殖したクリケット
環境問題と食料問題に関する社会課題
世界人口の増加とともに、将来の食料不足への不安が高まってきている。特に食肉の需要は今後急速に拡大すると予想されているが、従来型の畜産による食肉の増産は限界に近づいている。家畜の飼育には大量の餌や水が必要であり、メタンなどの温室効果ガスの排出量も多く、地球の持続可能性の観点で様々な課題を抱えている。
早ければ2030年頃に、食肉の需要と供給のバランスが崩れてしまう『たんぱく質危機』が到来するのではないかと危惧されている。このような背景から食肉に代わる代替たんぱく源の開発は世界的な関心事になっている。昆虫が作り出すたんぱく質もその有力候補のひとつ。持続可能なフードシステムの実現に向けたポテンシャルの大きさから、食用昆虫の市場規模は2030年までに8600億円に達するとの試算もある。
食用昆虫の中でも、同社は特に「クリケット(食用コオロギ)」の可能性に着目している。その最も大きな理由が、『環境にやさしいたんぱく源』であること。生産に必要な餌や水が少なく、温室効果ガスの排出量もわずかであることが大きなメリットだ。さらにクリケットは雑食性であるため、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」や、人の食料と競合しない「非可食資源」を餌に利用することができ、循環型のフードサイクルを実現することも可能だ。
図1 クリケットと牛肉を生産するときの環境負荷の比較
クリケット生産に国産の飼料を使う意味
食料安全保障の観点から、日本国内でのクリケット生産においては餌を国内資源で賄うことが重要だと考えている。そこで同社とナカリは「国産米ぬか」のクリケット生産への飼料利用可能性に着目し、共同研究を開始した。
お米は我が国で自給できる数少ない食料資源であり、精米の過程で発生する米ぬかは、人の食料と競合しない「非可食資源」だ。これをクリケットの飼料に利用することで、「国産のたんぱく源」を生産できるようにしたいと考えている。高品質でトレーサブルな米ぬかを供給できるナカリとのコラボレーションを通じて、日本の食料自給率の向上と持続可能なフードシステムの実現に貢献したいと考えている。
図2 国産米ぬかを使った、次世代プロテイン/オイルの生産
図3 養殖品種:ヨーロッパイエコオロギ Acheta domesticus
図4 FUTURENAUTのクリケット生産研究ラボ
今後の生産拡大で、地域の活力増進も
食用コオロギの養殖は主に軽作業が中心であるため、老若男女問わず携わることができる。同社とナカリの協業プランでは、お米産地の遊休施設と休耕期の労働力を活用した「新しい未来型農業」の振興にも貢献していきたいと考えている。
機械化、自動化による生産拡大プランと併走しながら、地域にある未利用の資源、施設、労働力を活用した地域循環型の「持続可能なフードサイクル」を創造していくことが、私たちが共有する未来像だ。
国産米ぬかを飼料にすることで、美味しさと栄養価を追求するだけでなく、「食の持続可能性」及び「SDGs」への貢献においてもプレミアムな付加価値をもつ「国産たんぱく質」の生産を拡大していく。
担当者からのコメント
FUTURENAUT(株)取締役CTO/高崎経済大学教授 博士(工学)飯島明宏
我が国の食料自給率は低く、食料生産の多くを外国に頼っている。その一方で年間600万トンもの食品ロスを発生させ、多くの食品を無駄にしている。クリケット生産では食品ロスの飼料利用が注目されているが、そもそも食品ロスは削減に取り組むことが最優先なので、食品ロスに頼った生産の仕組みは本末転倒だ。米ぬかのように人の食料と競合しない国産の栄養資源の利用可能性を検討することの方が、日本の食料安全保障に直接貢献できる仕組みになると期待できる。ナカリとのコラボレーションを通じて、日本のフードシステムの持続可能性を高めることに挑戦していく。ナカリ株式会社
ナカリ(株)執行役員統括本部長 星忠吉
2050年までに97億人に達すると言われる人口増加と深刻さを増す地球温暖化によって、世界の食料需給バランスは崩れはじめるでしょう。近い将来に起きるかもしれない「たんぱく質危機」に備え、フードシステムの持続可能性を考える時がきている。加えて、日本は世界で最も高齢化が進む国であり、人生100年時代とも言われる中で、健康の増進や高齢者の雇用創出などの社会課題も山積している。
日本の伝統食である「お米」から生じる「米ぬか」を飼料として、クリケットという次世代のたんぱく質生産を実現することは、「日本の伝統的な米文化の継承•発展」と「未来の新しい食文化の創造」の双方に寄与する取り組みであると考えている。これが日本の伝統食を取り扱う弊社にできるひとつの社会貢献のカタチだと考え、挑戦を続けていく。
<会社概要 >
FUTURENAUT(株)(https://futurenaut.co.jp )
高崎経済大学(飯島研究室)発のベンチャー企業。2019年設立。クリケットの養殖研究、食品ロスの飼料化研究、自動養殖研究、加工研究等の自社研究や受託研究、クリケットパウダーの輸入販売のほか、自社オリジナルブランドの菓子の開発・販売も行っている。国内外の企業やアカデミアとのパートナーシップを通して、市場のニーズに合ったクリケットの研究開発を行い、その成果を基に生産を拡大している。ナカリ株式会社
ナカリ(株)(https://www.nakari.jp/ )
ナカリ(株)では、主食用上米及び特定米穀の加工販売•酒造米の精米および販売•肥料農業資材農薬の販売•米穀集荷指定業•国交省の指定倉庫による備蓄米の保管•一般貨物営業倉庫•灯油販売•不動産賃貸などを行っている。主食用上米を始め、炊飯米、BG無洗米、清酒用、味噌用、米菓用、ビール用など、すべての米穀を取り扱い、お米の加工販売•精米•販売まで行っている。その対応力は、1kg50円~500円までのお米を5円刻みで提案できる。通称「国内産米のオールライスメーカー®」と呼ばれている。
米ぬかを飼料に利用して養殖したクリケット
環境問題と食料問題に関する社会課題
世界人口の増加とともに、将来の食料不足への不安が高まってきている。特に食肉の需要は今後急速に拡大すると予想されているが、従来型の畜産による食肉の増産は限界に近づいている。家畜の飼育には大量の餌や水が必要であり、メタンなどの温室効果ガスの排出量も多く、地球の持続可能性の観点で様々な課題を抱えている。
早ければ2030年頃に、食肉の需要と供給のバランスが崩れてしまう『たんぱく質危機』が到来するのではないかと危惧されている。このような背景から食肉に代わる代替たんぱく源の開発は世界的な関心事になっている。昆虫が作り出すたんぱく質もその有力候補のひとつ。持続可能なフードシステムの実現に向けたポテンシャルの大きさから、食用昆虫の市場規模は2030年までに8600億円に達するとの試算もある。
食用昆虫の中でも、同社は特に「クリケット(食用コオロギ)」の可能性に着目している。その最も大きな理由が、『環境にやさしいたんぱく源』であること。生産に必要な餌や水が少なく、温室効果ガスの排出量もわずかであることが大きなメリットだ。さらにクリケットは雑食性であるため、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」や、人の食料と競合しない「非可食資源」を餌に利用することができ、循環型のフードサイクルを実現することも可能だ。
図1 クリケットと牛肉を生産するときの環境負荷の比較
クリケット生産に国産の飼料を使う意味
食料安全保障の観点から、日本国内でのクリケット生産においては餌を国内資源で賄うことが重要だと考えている。そこで同社とナカリは「国産米ぬか」のクリケット生産への飼料利用可能性に着目し、共同研究を開始した。
お米は我が国で自給できる数少ない食料資源であり、精米の過程で発生する米ぬかは、人の食料と競合しない「非可食資源」だ。これをクリケットの飼料に利用することで、「国産のたんぱく源」を生産できるようにしたいと考えている。高品質でトレーサブルな米ぬかを供給できるナカリとのコラボレーションを通じて、日本の食料自給率の向上と持続可能なフードシステムの実現に貢献したいと考えている。
図2 国産米ぬかを使った、次世代プロテイン/オイルの生産
図3 養殖品種:ヨーロッパイエコオロギ Acheta domesticus
図4 FUTURENAUTのクリケット生産研究ラボ
今後の生産拡大で、地域の活力増進も
食用コオロギの養殖は主に軽作業が中心であるため、老若男女問わず携わることができる。同社とナカリの協業プランでは、お米産地の遊休施設と休耕期の労働力を活用した「新しい未来型農業」の振興にも貢献していきたいと考えている。
機械化、自動化による生産拡大プランと併走しながら、地域にある未利用の資源、施設、労働力を活用した地域循環型の「持続可能なフードサイクル」を創造していくことが、私たちが共有する未来像だ。
国産米ぬかを飼料にすることで、美味しさと栄養価を追求するだけでなく、「食の持続可能性」及び「SDGs」への貢献においてもプレミアムな付加価値をもつ「国産たんぱく質」の生産を拡大していく。
担当者からのコメント
FUTURENAUT(株)取締役CTO/高崎経済大学教授 博士(工学)飯島明宏
我が国の食料自給率は低く、食料生産の多くを外国に頼っている。その一方で年間600万トンもの食品ロスを発生させ、多くの食品を無駄にしている。クリケット生産では食品ロスの飼料利用が注目されているが、そもそも食品ロスは削減に取り組むことが最優先なので、食品ロスに頼った生産の仕組みは本末転倒だ。米ぬかのように人の食料と競合しない国産の栄養資源の利用可能性を検討することの方が、日本の食料安全保障に直接貢献できる仕組みになると期待できる。ナカリとのコラボレーションを通じて、日本のフードシステムの持続可能性を高めることに挑戦していく。ナカリ株式会社
ナカリ(株)執行役員統括本部長 星忠吉
2050年までに97億人に達すると言われる人口増加と深刻さを増す地球温暖化によって、世界の食料需給バランスは崩れはじめるでしょう。近い将来に起きるかもしれない「たんぱく質危機」に備え、フードシステムの持続可能性を考える時がきている。加えて、日本は世界で最も高齢化が進む国であり、人生100年時代とも言われる中で、健康の増進や高齢者の雇用創出などの社会課題も山積している。
日本の伝統食である「お米」から生じる「米ぬか」を飼料として、クリケットという次世代のたんぱく質生産を実現することは、「日本の伝統的な米文化の継承•発展」と「未来の新しい食文化の創造」の双方に寄与する取り組みであると考えている。これが日本の伝統食を取り扱う弊社にできるひとつの社会貢献のカタチだと考え、挑戦を続けていく。
<会社概要 >
FUTURENAUT(株)(https://futurenaut.co.jp )
高崎経済大学(飯島研究室)発のベンチャー企業。2019年設立。クリケットの養殖研究、食品ロスの飼料化研究、自動養殖研究、加工研究等の自社研究や受託研究、クリケットパウダーの輸入販売のほか、自社オリジナルブランドの菓子の開発・販売も行っている。国内外の企業やアカデミアとのパートナーシップを通して、市場のニーズに合ったクリケットの研究開発を行い、その成果を基に生産を拡大している。ナカリ株式会社
ナカリ(株)(https://www.nakari.jp/ )
ナカリ(株)では、主食用上米及び特定米穀の加工販売•酒造米の精米および販売•肥料農業資材農薬の販売•米穀集荷指定業•国交省の指定倉庫による備蓄米の保管•一般貨物営業倉庫•灯油販売•不動産賃貸などを行っている。主食用上米を始め、炊飯米、BG無洗米、清酒用、味噌用、米菓用、ビール用など、すべての米穀を取り扱い、お米の加工販売•精米•販売まで行っている。その対応力は、1kg50円~500円までのお米を5円刻みで提案できる。通称「国内産米のオールライスメーカー®」と呼ばれている。