2016.10.28(金)

「七色野菜」を意識して栽培する
北信州いいやま「けんちゃん農園」
食用ホウズキ、ズッキーニなど…

 飯山市にある「けんちゃん農園」。圃場は曙町北、明生寺北、水上団地の3ヶ所にある。多種多様な野菜を栽培しているが、七色野菜を意識して生産している。オーナーの岩崎健氏(60)はまだサラリーマン。父親のアスパラガス一本で栽培してきた圃場を、3年前から多種多様な「けんちゃん農園」に変えた。
 5反歩の圃場の主力はズッキーニが約2トン(イエローボート、ブラックボー)栽培しており、もう一つの主力野菜が食用ホウズキだ。1キロ5,000円(百グラム500円)で販売している。写真で見るように「食用ホウズキ」は150m程に成長し、3日から7日間乾燥させ、熟成を深めたホウズキとして出荷する。出荷期間は8月から11月までだ。

さて 「けんちゃん農園」のホウズキは、次のようなアピールをしている。トロピカルな香りと甘さ、機能性にも注目が集まる「フルーツほおずき」。食用ほおずきは「太陽の子」。食べる時はガクを広げて「天使の羽」をつくってバクリ。冷凍しても追熟する性質があり、一層甘みが増す。実はナス科の植物であるほおずき。ヨーロッパではポピュラーな食材として料理の付け合わせなどにも登場する。
 ビタミンA、鉄分、ビタミンB群のイノシトールなどが豊富に含まれるほおずきは、南米では薬としても用いられているほど薬効成分が豊かだと言われている。また、古代インカ帝国でも栽培され、生食やドライフルーツにして食されていたそうだ。そんな昔から食べられていたとは意外であった。
 そのまま食べても止まらなくなるほどおいしいほおずきだが、岩崎さんの一番のおすすめはフレッシュジュース。食用ほおずきならではのトロピカルな香りと甘さが堪能できる贅沢な味わい方であると。勿論、ケーキやジェラート、ジャム、シロップなど、さまざまなメニューに使うことができ、いま、食のプロが注目する素材だとアピールしている。



 くだんの七色野菜の七色とは、赤、橙、黄、緑、紫、黒、白の7色のこと。昔から「赤の野菜」はトマト、スイカ、その効果は強い抗酸化作用。トウガラシ、パブリカは善玉コレステロールを増加させる。「橙色の野菜」はニンジン、カボチャ(がん予防)、パパイヤ、マンゴーは視力低下の予防といわれている。
 「黄色の野菜」はトウモロコシ、ゴールドキューイ、その効果はがん予防。タマネギ、レモンは高血圧の予防となる。「緑の野菜」はほうれんそう、オクラ。消臭、殺菌効果がある。「紫の野菜」はナス、ブルーベリー(視力低下の予防)。黑の野菜はゴボウ、ジャガイモ(血糖値上昇の抑制)、緑茶、かきはがん予防。「白の野菜」はキャベツ、ワサビはピロリ菌対策、ニンニク、ネギは抗菌効果があるという。そんな意味で「七色野菜」はファイトケミカルともいわれている。
 ここで「けんちゃん農園」で栽培されている野菜を具体的に挙げてみよう。前述のズッキーニの他にエホバク(未熟のかぼちゃ)、グリーンマロー(かぼちゃ)、ゴーヤ、チマサンチェ、えごま、韓国唐辛子、ダイコン(白、赤、黒)、白菜、韓国白菜、サツマイモ、ジャガイモ(きたあかり)、紫キャベツ、しゅんぎく、ヤーコン、昨年から栽培している「とり切りアスパラ」、モロッコインゲンがある。
 その他にイタリアン系のプチカラーピーマン、トマト•ロッソナポリタン、カラフルトマトがある。また同農園のウリの食用ホウズキ、スイートコーン、きゅうり、ナス、とうがらし(たかのつめ)、パクチー(コリアンダー、セリ科の一年草)など、さらには「切り花ひまわり」(千本)も栽培している。
 来年度は北限の「蒼いパパイア」も栽培する。岩崎健氏はチャレンジが大好きな方だ。パパイヤは熱帯アメリカが原産でパパイア科パパイア属の常緑樹になる果実。「乳瓜(ちちうり)」または「木瓜(もっか)」とも呼ばれ世界の熱帯および亜熱帯で広く栽培されており、国内でも沖縄や鹿児島、高知、愛知県で栽培されている。蒼パパイヤは果物であるが、野菜のような食べ方をするので調理用パパイヤとも呼ばれている。その「蒼パパイア」を日本の北限で栽培するという新しい試みだ。
 圃場には作業小屋一棟、倉庫(コンテナハウス)2棟があり、収穫や出荷の集中時期はパート•アルバイト1名が応援してくれる。岩崎健氏は現在サラリーマンを兼ねた農業経営者。定年退職後はさらに経営効率の良い「七色野菜」栽培を目指す。勿論、1年に一回しか収穫出来ないもの、数回出来るものをうまく組み合わせのことだ。地元の農業高校で学んでいた頃、先生から「これからの農業は1,000万円台の農業を目指せ」といわれたことを、今の売上げ目標にしている。