一般社団法人日本フードサービス協会(略称:JF=ジェフ 本部:東京都港区、近藤正樹会長)は協会会員社を対象とした外食産業市場動向調査2022年6月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて一昨々年同月比も算出し掲載している。
   6月の全体概況は、昨年とは違い大都市圏でも「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の適用が無く、外食産業の売上げ前年比は前月同様大幅に伸び、全体売上げは119.9%となった。夜遅い時間帯の集客は依然として弱いものの、「昼の時間帯」「家族客」「土日休日」を中心に客足の好調が継続した。
   外食店舗は徐々に営業時間をコロナ前に戻すなど、コロナと共存して社会経済活動を維持しようという動きが見られ、売上げはコロナ前の19年比で93.1%にまで戻ったが、パブ•居酒屋業態では19年比58.3%と依然苦戦が続いている。
   業態別概況ではファーストフード業態がデリバリーの定着化に加えて、行動制限がなくなり外食客も増えたことにより、全体売上げは108.0%だった。「洋風」はデリバリーや注文のデジタル化などの「利便性」と各種キャンペーンの好調が相まって、売上げは108.1%。19年比でも121.4%と引き続き業態を牽引した。
   「和風」は駅前立地の回復が一部遅れているものの、デリバリーの堅調や朝食のテイクアウト訴求が奏功し売上109.5%。「麺類」は6月下旬の猛暑の中で冷たいメニューが好調、売上げは 115.6%となった。
   「持ち帰り米飯/回転寿司」は、「持ち帰り米飯」にテイクアウト需要の一服感があるものの、「回転寿司」の休日の集客が後押しし、売上げ100.8%となった。「その他」は「カレー」の価格改定による単価上昇と、猛暑の下旬に「アイスクリーム」のイートインが好調で、売上げ109.3%となった。
   ファミリーレストラン業態の全体売上げは131.3%と、昨年の営業制限の反動から大きく伸びたが、引き続き夜間の集客は弱く、19年対比では83.8%で戻りは鈍い。反動増から「洋風」の売上げは128.1%、「和風」は134.6%となるも19年比では未だ8割前後にとどまった。
   クーポン配布などのキャンペーンの再開•強化に取り組むところもあり、徐々にコロナ前の環境に戻りつつあるが、夜の集客、宴会需要などは戻っていない。「中華」は下旬の猛暑で冷し中華や飲料が好調、売上げ119.1%。「焼き肉」は郊外立地店が引き続き好調で、売上げ154.6%となった。
   パブ•居酒屋業態は6月も5月と同様、大都市圏などで酒類提供店に休業要請が続いた昨年と比べると売上げは335.9%と驚くほどの伸びとなったが、19年対比ではいまだに58.3%である。早い梅雨明けと下旬の猛暑で、ビール類の売れ行きが好調であったものの、実際には“法人需要”と“夜間の客足”がなかなか戻らず依然苦戦が続く。夜間営業のために人員確保に努めるも、思ったほど集客できず成果は少ない。
   ディナーレストラン業態では、前年の反動増に加え、アルコール飲料を提供できたことなどにより、5月に続き売上げは171.5%と大幅に上昇したが、19年比は80.9%にとどまった。家族客、土日休日を中心に集客は好調だったが、法人宴会はまだ回復が見られない。
   喫茶業態は昨年の時短営業や休業の反動で、売上げ前年比は122.9%。どの立地でも回復基調はあるものの、下旬の猛暑でブレーキがかかった感もあり、19年対比では83.2%となった。

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