2022.07.22(金

千曲市内の小学校が実施した授業で
ジャガイモの芽や皮に含まれる有毒物質の
ソラニン(推定)による食中毒が発生

   千曲市内の小学校で、授業中に食べた茹でたジャガイモによる食中毒が発生した。患者らは学校で栽培したジャガイモを食べた児童及び教職員98名中の45名で、患者らに共通する食事はこのジャガイモのみだったことから、ジャガイモを原因食品と断定した。患者らの症状、ジャガイモを皮ごと食べていること、食べたジャガイモに未熟なものが含まれていたことから、ソラニンを病因物質と推定した。なお、患者は快方に向かっている。
   この食中毒は7月21日、長野保健所に千曲市内の小学校から「学校で栽培したジャガイモを授業中に食べたところ、複数名が吐き気、腹痛、嘔吐等を呈した」旨の連絡があった。長野保健所による調査結果によると、学校で栽培したジャガイモを7月12日から14 日にかけて収穫し、21 日午前9時頃から家庭科実習室で調理し、10時20分頃から正午にかけて教室で食べた3クラス(同学年)98名中の45名が、食べて20分後から2時間30分後の間に吐き気、腹痛、嘔吐等の症状を呈した。
   患者の発症状況はソラニンによる食中毒と一致していたこと、患者グループの共通食は授業で食べた皮付きのジャガイモと塩だけであったこと、患者が喫食したジャガイモは芽のないものを選別し、皮付きのまま茹でて提供されたもので一部に未熟なジャガイモが含まれていたこと、ジャガイモを食べていない他の学年に同様の症状はなかったことから、長野保健所はジャガイモを原因とする食中毒と断定した。
   参考までに患者グループへ提供されたメニューは、茹でたジャガイモであった。長野県内(長野市•松本市含む)における食中毒発生状況(本件含む)は、令和4年度4件60名(うち長野市•松本市)(0件) (0名)、令和3年度5件264名(うち長野市•松本市)(2件)(154名)となった。なお、県内におけるソラニンによる食中毒発生状況(本件含む)は、昭和51年度~令和4年度2件62名(うち長野市•松本市)(0件)(0名)となっている。
    
~~ソラニンによる食中毒~~
[特徴]
   ソラニンは、ジャガイモの発芽部分や日光にあたって緑色に変色した皮の部分に含まれる有毒なアルカロイドで、類似物質にチャコニンがある。ソラニンを含んだ未成熟の小さなジャガイモや、成熟していてもジャガイモの芽や緑色の皮を食べると嘔吐などの症状が起こり、子供は大人に比べると微量のソラニンでも発症すると言われている。
[症状]
   食べてから20分程度で、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、めまい、幻覚等の症状を起こす。
[予防方法]
〇ジャガイモの芽や皮は取り除いてから調理を行い、特に緑色に変色した皮の部分は、厚くむきとりましょう。
〇未成熟の小さなジャガイモは芽や皮の部分にソラニン類を多く含むため、食べないようにしましょう。
〇ジャガイモは冷暗所に保管し、日光が当たらないようにしましょう。

(調理されたジャガイモの残品)
 
   この件のお問い合わせは長野保健所 食品•生活衛生課 食品•動物衛生係 (次長)和田丈 (課長)小野 辰哉 (担当)小船順子まで(電話026-225-9065<直通>   026-223-2131<代表>内線151. FAX026-225-9105   E-mail  nagaho-shokusei@pref.nagano.lg.jp)。