2022.01.25(火)

<外食市場12月の動向>
営業制限解除後も夜の需要戻らず
市場の勢いを取り戻せていない


   一般社団法人日本フードサービス協会(略称:JF=ジェフ本部東京都港区、赤塚保正会長)は協会会員社を対象とした外食産業市場動向調査令和3年12月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて前々年同月比も算出し掲載している。
   全体概況は、飲食店への営業制限がなかった12月の全体売上げはコロナ禍第3波の影響を受けた前年と比べて109.5%となったものの、コロナ前の一昨年比では92.0%と外食産業の売上げは厳しい状況が続いている。
   年末の帰省需要など小人数の外食需要の一部で戻りがみられたものの、全体としては夜間の外食需要は依然として戻っていない。特に大口の企業宴会などが戻っていない飲酒業態は、一昨年比で未だ54.7%と回復には程遠い。店舗数が約一割減少するなど業態そのものの構造が変容しており、コロナ禍が収束したとしても元のようには戻らない可能性が高くなった。
   業態別概況では、ファーストフード業態のFFは全般的に好調で売上げは前年比104.9%、そして一昨年比101.3%とコロナ禍前の売上げをも上回った。「洋風」は海外からの食材調達に支障が生じたためメニュー提供の制限を余儀なくされたところもあったが、引き続きテイクアウト、デリバリー、ドライブスルーが堅調で、売上げ103.6%、コロナ禍前の一昨年対比では109.4%となった。
   「和風」はメディア露出や新商品の展開が奏功し、売上げは107.7%、一昨年比でも102.2%と上回った。「麺類」は商業施設への来店が戻りつつあり、全体売上げは103.9%となるも、一昨年比では84.7%に終わった。「持ち帰り米飯•回転寿司」は、「回転寿司」業態において年末の帰省客が増加したこと等が寄与し、売上げは105.0%となった(一昨年比96.6%)。「その他」 は「アイスクリーム」で月末寒波の影響があったが、各商業施設で客足が戻ったことで売上げは107.7%となった。しかし、一昨年比では90.8%とコロナ前の水準には達していない。
   ファミリーレストラン業態のFRの全体売上げは112.9%となったが、一昨年比87.2%とコロナ前には戻っていない。「洋風」はアルコールのお得なキャンペーンなどの好評で売上げは111.6%となったが、一昨年比は81.6%となった。
   「和風」は年末の少人数による宴会需要を一部取り戻し前年比112.9%(一昨年比82.6%)。一方「中華」はこれまで好調を維持していた店外需要のみならず店内需要も戻り、売上げは110.7%、一昨年比でも102.0%となった。「焼き肉」は年末にかけて郊外店舗を中心に客足好調、前年比で売上げ119.0%、前々年比でも101.9%となった。
   パブ•居酒屋業態では、飲酒業態はコロナ下で営業制限が無くなった初めての年末となった。年末を中心に少人数の個人客の戻りが見られたこともあり、コロナ第3波の影響を大きく受けた昨年と比べると売上げは144.3%となったが、企業の忘年会などの予約がほぼない中、コロナ前の一昨年比では54.7%に過ぎない。
   「パブ•ビアホール」の売上げは、昨年比160.2%となるも一昨年比は56.3%、「居酒屋」も同様に昨年比は売上げ138.0%であったが、一昨年比では54.0%に留まった。大幅に市場が縮小し業態として大きな曲がり角に来ている。
   ディナーレストラン業態は法人の利用は未だ低調が続くも、個人単位での利用は比較的底堅く推移した。高単価の店の需要は高く売上げは124.8 %になったが、一昨年比では78.8%と依然厳しい。喫茶業態は月間を通じて目立った規制もなく営業でき、またクリスマスのキャンペーンが奏功したことなどから、売上げは111.9%となったが未だ一昨年対比では80.1%に留まっている。
   この件のお問い合わせは一般社団法人日本フードサービス協会(JF)事務局 松崎、亀島、石井まで(電話03-5403-1060)。