あと1ヶ月に迫った消費税率の引き上げは…
駆け込み需要で景況感を維持していただけに
2014.03.01
4月1日から消費税率が現行の5%から8%に引き上がられる。17年ぶりの消費増税だ。正直なところ、非耐久消費財を扱う小規模店の小売店や飲食店は、その対応にかなり苦慮しているのではないだろうか。地方における街角の景況感、否消費者の景況感が大幅に改善されたとは言い難い状況が続いている。
1月の記者会見で日銀の黒田東彦総裁が「増税による実質所得税減も注視しているが、消費者物価指数2%は今年の後半に達成する可能性が高い」と話されていた。自動車、家電、住宅等の耐久消費財の駆け込み需要は今でも顕在化しており、また、この3月には食料品や一般生活用品の駆け込み需要が量販店やスーパーでも増大するだろう。
従って4月以降しばらくは、この駆け込み需要と反動減が相殺され、一般消費はかなり減退すると見られる。今までにも企業の景況感も地域、業種、企業規模によって違いが見られた。また、個人の景況感もかなり陰りが見られている。名目賃金の上昇も小幅にとどまり、所定内給与の改善も見られていない。
雇用者所得の引き上げ、常勤労働者の賃金上昇がない限り、消費増税は実質可処分所得が減少する。もうひとつ触れておきたいのは、正社員と非正社員、すなわち契約社員、パート、派遣社員等の問題。雇用者の32.9%がこの非正社員で占めている実態だ。政府も企業もこの辺の対策をどこまで真剣に対処しているか、である。
さらに問題がないわけではない。消費増税分は販売価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担を分かち合うのが原則。しかし、過去の3%から5%に引き上げられた際に、大手の仕入れ業者が優越的な地位を利用して、立場の弱い中小、零細の納入業者が適正に転嫁するのを拒んだ事例が多く見られた。この辺も政府や企業は万全の態勢で防げるのかどうか、である。
この他に消費者の戸惑い。増税後の価格表示は「税込み」から「税抜き」に変更するところもあれば、「税込み」を続けるところもある。消費者はかなり戸惑ったり、必需品でない限り消費を控える場面も多く訪れるだろう。
4月からの消費増税、会社や各店体力のあるところは当然だが、特に小、零細飲食店は暫く据え置くべきと考える。勿論、客数増が見込めれば別だが…。飲食店の強みである「現金商売」という財産を喰い潰しているお店が多いからである。
その点を見事に克服している業種業態がある。コンビニの米飯コーナーやドリンクバー、そしてイートインスペースだ。ここ1、2年の出店ペースも活発だが、間違いなくFRやFF、飲食店のお客を奪う戦略に打って出ている。消費増税対策はコンビニ業界が最も進んでいるといっても過言ではないだろう。