ー〈トレンド総研〉ー

2014.04.23(水)

 生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、2014年・春夏のトレンドのひとつとして「おうちフローズン」に注目し、レポートしている。
 今年の消費トレンドを語る上で外せないキーワードと言えば「増税」。4月から消費税が8%にアップしたことで、日々の生活の中で節約を意識しはじめた人も多いと予想される。また節約のために、外食や外出を控えて自宅で過ごす時間を大切にするなど、“ウチナカ回帰”をする人も増えているようだ。
 但し「節約」といっても“ガマンしすぎない”のが現代の消費者の特徴。「お店で買うより安いけれども、ちょっとプチ贅沢できるもの」を見つけたり、「食事やドリンクなどをみんなで手作りする」という過程そのものを楽しんだりと、「節約」自体を楽しもうとする傾向が強まっていると言える。
 そんな中で今年注目したいのが「おうちフローズン」だ。フローズンドリンクは普段のドリンクにひと手間かけるだけで、見た目や食感が変わる楽しさを味わうことができ、カラダの中から涼しくなれる飲み物。ここ数年をみても、自宅でフローズンを楽しむ人が増えているが、今年はその動きがさらに加速していくと予想される。
 実際に最近ではグリーンスムージーやミネラルスムージー(R)など、自宅でスムージーを作る際に、砕いた氷を使ってフローズンタイプにアレンジする人も多いほか、自宅でフローズンを作るためのマシンやクッキングトイなども登場している。
そこで今回、トレンド総研ではこの「おうちフローズン」をテーマに、消費トレンドに詳しい商品ジャーナリスト•北村森氏のインタビューコメントや、消費増税後の意識変化および「おうちフローズン」への興味に関する調査結果、人気料理研究家•浜内千波さんによる家庭で楽しめる「フローズン」レシピを紹介している。

商品ジャーナリスト•北村森氏にインタビュー「“おうちフローズン”トレンドの背景」

 はじめに「おうちフローズン」に注目が集まる背景について、商品ジャーナリストの北村森氏よりコメントをいただいた。

■増税対策で、2014年の春~夏は“ウチナカ回帰”が加速

4月に「増税」という節目を迎えて、消費者は今まで以上に「何にお金をかけるか」を吟味するようになりました。増税が家計にもたらすインパクトは意外と大きいもの。必然的に「節約」を意識する人が増えています。
しかし、現代の「節約」は贅沢をガマンして、徹底的に無駄を削る、というものではありません。長きにわたる不況を経験してきた現代の消費者は、「ガマンのしすぎは続かない」ということをきちんと理解しています。絶対的な出費は減らしつつも、お金をおさえ過ぎてみじめになることはせずに、節約そのものを賢く楽しむ…これが現代人の「節約スタイル」なのです。
そして節約に対する意識が高まってくると、自然と「ウチナカ」志向の人が増えていきます。特に飲食の分野では、トータルの出費をおさえるために外食や外出を控えて、そのぶん自宅で過ごす時間を大切にするなど、“ウチナカ回帰”がさらに加速するでしょう

■自宅で手軽かつリーズナブルに、贅沢な気持ちが味わえる…

“ウチナカ回帰”にともない「おうちフローズン」が新たな夏の定番に。こうした中で、今年注目したいのがフローズンドリンク。特に、フローズンドリンクを“自宅で手作り”する、「おうちフローズン」が人気を集めると予想されます。ここ数年をみてもフローズンドリンクは定番化しつつあると言えますが、今年は“ウチナカ回帰”にともない、「おうちフローズン」を楽しむ人がさらに増えるでしょう。
というのもフローズンドリンクは、普段慣れ親しんでいる飲み物に「凍らせる」という要素を加えるだけで、見た目にも食感にも変化があらわれて“楽しさ”を実感しやすい飲み物。また、飲み物の種類を工夫したり、トッピングを変えたりと、自分なりのアレンジがしやすいという点も“楽しさ”につながります。このように自宅でも手軽かつリーズナブルに、この夏ちょっと贅沢な気持ちが味わえる「おうちフローズン」は、「節約を楽しみたい」現代の消費者にとって非常に魅力的に映るのです。
 さらに最近では、自宅でフローズンを作るためのマシンやクッキングトイなども登場しており、フローズンドリンクを作る手段が増えつつあります。こうした「単機能型」のマシンも、ここ数年のトレンドにマッチしており、消費者の興味を集めやすいと考えられます。

[専門家プロフィール] 北村森(きたむら もり)/商品ジャーナリスト
「日経トレンディ」編集長時代から、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターとしても活動。退職後、商品ジャーナリストとして活動。原稿執筆、テレビ、ラジオ番組への出演、講演活動などとともに地方自治体と連携する形で地域おこしのアドバイザー業務にも携わる。著書に『途中下車』(河出書房新社)、『ヒット商品航海記』(日本経済新聞出版社 共著)。

【消費者調査】 「おうちフローズン」に対する消費者の興味・関心

 続いて20~30代の男女500名に、消費増税後の意識変化および「おうちフローズン」への興味について調査を行った。

■増税により“ウチナカ回帰”が加速…「体の中から涼しくなるメニュー」を求める声も6割超

 はじめに前述の北村氏のコメントを受けて、増税による意識の変化について質問。「2014年4月からの消費税増税にあたり、節約をしたいと思いますか?」と聞いたところ、29%が「すでに節約をしている」、53%が「節約をしようと思っている」と回答し、合計すると8割以上が節約志向にあることが明らかになった。
 また「今年の春夏は、旅行・レジャー・外食などの外出をおさえて自宅の中で楽しめることを増やしたいと思いますか?」という質問では63%が「そう思う」、「光熱費やレジャー費をおさえるために今年の春夏は、体の中から涼しくなるメニューを積極的にとり入れたいと思いますか?」という質問でも同じく63%が「そう思う」と答えている。

■自宅で楽しめる「おうちフローズン」約7割が手作りしたいと回答…人気は「コーヒー系」

 そこで「今年の春夏に、フローズンドリンクを楽しみたいと思いますか?」という質問では、全体の78%が「そう思う」と回答。さらに、「自宅でフローズンドリンクを手作りしてみたいと思いますか?」という質問でも、69%と約7割が「そう思う」と答えた。
 ちなみに「今年の春夏、あなたが飲みたいと思うフローズンドリンクはどのようなタイプのものですか?」と聞いたところ、定番の「コーヒー・エスプレッソ系」(40%)が最も人気を集める結果に。以下「ヨーグルト系」(38%)「マンゴー系」(35%)「ストロベリー系」(35%)「オレンジ系」(29%)「バニラ系」(29%)と続いた。
 増税により“ウチナカ回帰”が進む今年の春夏は、自宅でフローズンを手作りする「おうちフローズン」を楽しむ人が、さらに増えていくと予想される。
 この調査期間は2014年4月2日(水)〜7日(月)。調査方法はインターネット調査、調査対象は20~30代の男女500名。  

【家庭用レシピ】家庭で楽しめる「おうちフローズン」レシピ

また、今回は人気料理研究家の浜内千波さんに、自宅でも手軽に作ることができる「おうちフローズン」のレシピを教えていただいた。

レシピ1:コーヒーフローズン

◆ミキサーで作る
【材料】※2人分
スプレードライコーヒー(※今回のレシピでは「ネスカフェ エクセラ」を使用)8g(★)、氷240g(★)、水160g(★)、砂糖40g(★)、生クリーム30g、砂糖小さじ1。
【作り方】
★の材料を、なめらかになるまでミキサーにかける。その後、ホイップした生クリームをかける。
【ワンポイントアドバイス】
生クリームの量はお好みで。あまり多すぎるとせっかくのコーヒーの香りがだめになってしまうことも。生クリームなしでもおいしく召し上がりいただける。
コーヒーフローズン.png

◆容器ごと凍らせて作る

【材料】※2人分
スプレードライコーヒー(※今回のレシピでは「ネスカフェ エクセラ」を使用)4g、低脂肪牛乳1カップ、砂糖40g
【作り方】
全ての材料をプラスチック製の密閉容器などに入れて凍らせ、スプーンで削る。
【ワンポイントアドバイス】
あらかじめ、砂糖とまぜてから凍らせたほうが、固まりにくく削りやすくなります。
この配合だと冷凍庫から出してすぐに、簡単にスプーンで削れるのでおすすめです。またコーヒー粉末ではなく、ボトルコーヒーで作ることも可能。その場合は材料を「ボトルコーヒー(甘さ控えめタイプ)1カップ、砂糖大さじ3」に置き換えてください。
コーヒーフローズン2.png

レシピ2:抹茶フローズン

【材料】※2人分
抹茶飲料粉末パウダー2杯分(※今回のレシピでは「ネスレ ふわラテ 宇治抹茶」2本を使用)、調整豆乳1カップ、氷200g
【作り方】
全ての材料を、なめらかになるまでミキサーにかける。
【ワンポイントアドバイス】
今回は調整豆乳を使用しましたが、お好みで無調整豆乳を使っていただいても構いません。
抹茶フローズン.png

レシピ3:ミネラルフローズン

【材料】※2人分
硬水3/4カップ(A)、キウイ70g(A)、ブロッコリー70g(A)
硬水 3/4カップ(B)、トマト70g(B)、人参70g(B)
【作り方】
キウイ、ブロッコリー、トマト、人参は、ミキサーにかけられる大きさに切り、冷凍しておく。
AとBをそれぞれ別でミキサーにかける。
グラスに緑(A)、赤(B)の順に入れる。
【ワンポイントアドバイス】
今話題の、「硬水」を使ったミネラルスムージー(R)をフローズン状にアレンジしたレシピです。野菜・果物はあらかじめ凍らせておきましょう。ミキサーにかけるときは一気にクラッシュするのではなく、フラッシュボタンを多用し、ポンポンとかきまぜるのがおすすめ。あまりドロドロにしないほうがおいしいです。お子様の場合はオリゴ糖を混ぜても可。
ミネラルフローズン.png

[専門家プロフィール] 浜内千波 (はまうち ちなみ)/料理研究家
大学卒業後、OLを経験し料理の世界へ。1980年、ファミリークッキングスクールを東京・中野坂上に開校。テレビ番組や料理ビデオの出演、講演会、雑誌や書籍の執筆活動、各種料理講習会への参画を積極的に行い、その発想のユニークさやクリエイティブな仕事には定評がある。

この件にお問い合わせはトレンド総研 http://www.trendsoken.com/ 担当:山口まで
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