2024.03.12(火) |
農耕さずに種を播く! 飼料作物スーダングラスの不耕起播種
栽培技術の標準作業手順書を公開、播種作業の省力化で夏作
飼料の生産拡大、国産飼料の増産へ(農研機構)
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農研機構は、夏季に栽培される飼料作物として繁殖牛向けに広く利用されているスーダングラスを対象に、播種作業を省力•効率化できる不耕起栽培技術を体系化し、その標準作業手順書をウェブサイトで公開した。新技術の導入効果、必要な機材や手順•条件などをまとめており、本手順書の活用により、夏作飼料の生産拡大や周年生産の安定化、国産飼料の増産に貢献することが期待される。
輸入飼料価格の高止まり傾向や農業者の高齢化、労働力不足が続くなか、省力的に国産飼料を増産し、畜産経営の安定化を図ることが喫緊の課題となっている。九州のような温暖な地域では夏冬を通して同じほ場に2種類の異なる飼料作物を作付けする二毛作が普及しているが、経営規模が拡大し、作付面積が拡大する場合など、前作の収穫作業と後作の播種作業との競合がより起きやすくなる問題があるう。
特に夏季に作付けする場合は、梅雨などの天候の制約を受けて播種作業の期間が限られるためより効率的に作業ができる省力栽培技術が求められていた。 スーダングラス 1)は、ソルガム類の一種で、夏季に作付けされる一年生のイネ科の飼料作物だ。初期生育が早いので雑草との競合に強く、収穫後も再生するため、複数回収穫できる特徴がある。おもに繁殖牛向けの粗飼料として広く利用される夏作の基幹作物の一つだ。
農研機構ではこのスーダングラスを対象に、播種作業の工程を大幅に省略した 不耕起栽培技術 2)を開発•体系化し、スーダングラスの不耕起栽培適性や市販の 不耕起播種機 3)を利用した作業方法などをまとめた技術マニュアルを公表している。
この度、生産現場へのさらなる普及推進を図るため、 飼料生産組織 4)の協力のもと、経営的な導入効果の事例を新たに加えるとともに、導入に必要な機材、手順、 雑草対策 5)や、作業の省力化効果などをより詳細に解説した本技術の 標準作業手順書 6)を作成•公開した。
本技術の導入によりスーダングラスの作付面積拡大や飼料生産ほ場の年間収量増加が期待できる。現地実証試験の事例では、一定期間中の播種可能面積は耕起栽培に対して2倍以上に拡大(規模拡大)、作業時間では56%の削減(省力化)、軽油消費量では74%の削減(省エネ)などの経営的な効果が認められた。本手順書を活用し普及機関や関係団体等を通じて、本技術の生産現場への導入推進を図ることで、夏作飼料の生産拡大、国産飼料の増産への波及が期待される。
【標準作業手順書掲載URL】スーダングラス不耕起栽培技術標準作業手順書
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/161982.html
<関連情報>
予算:革新的技術開発•緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)「気象リスクに対応した安定的な飼料作物生産技術の開発」JP17063899
この件の問い合わせ先
研究推進責任 : 農研機構 九州沖縄農業研究センター所長 原田久富美
研究担当者 : 同 暖地畜産研究領域 飼料生産グループグループ長補佐 吉川好文
広報担当者 : 同 研究推進室 広報チーム金川 美穂
<詳細情報>
開発の社会的背景
輸入飼料価格の高止まり傾向や農業者の高齢化、労働力不足が続くなか、国産飼料の生産•供給基盤の強化が急務となっている。九州地域は全国でも有数の畜産地帯であり、その温暖な気象条件を活かして年2回の作付けを行う二毛作などの周年栽培による飼料生産が行われてきた。
しかし、作付けや収穫等の作業回数などが増えるため、面積拡大や大規模化を図る経営では、作業競合や労働過重、作業の遅延などが問題となっていた。特に夏作では6月から7月にかけて梅雨があり、天候の制約を受け、播種作業の期間が限られるため、作業が計画通り進まず、夏作飼料の生産拡大や収量安定化などを阻害する要因の一つとなっていた。
そのため、限られた期間内により効率的に播種作業ができ、安定的な収量確保と周年栽培が期待できる省力技術が求められていた。そこで、特に九州地域に多い肉用牛の繁殖牛向けの粗飼料として広く利用されているスーダングラスを対象に、不耕起栽培技術の開発に取り組んだ。
研究の経緯
不耕起栽培の実施にあたっては、対象とする作物が不耕起栽培に適しているか、有効な雑草対策技術があるかなどの課題を解決する必要があるう。また、不耕起播種に対応した播種機を導入することになるため、生産現場における本技術の導入要件(目安)や経営的なメリットなどを明らかにする必要がある。
そこで、おもに繁殖牛向けに利用されるスーダングラスを対象に、その不耕起播種には市販の不耕起播種機が利用できること、スーダングラスが不耕起栽培に適していることを明らかにするとともに、不耕起の条件で有効な雑草対策技術を開発した。
さらに飼料生産組織の協力のもと、実際の営農現場の飼料畑に不耕起栽培を導入した実証試験を行うことにより研究開発を進め、今回、生産現場への普及推進を図るため、必要な機材や手順導入事例や効果などを示した標準作業手順書を公開した。
研究の内容•意義
本手順書では、スーダングラスの不耕起栽培技術について、一般的な耕起栽培と比較しながら、播種作業を大幅に省力化できる仕組みとメリット、収量水準やコスト、必要な播種機や雑草防除対策、導入効果や条件(留意点)などをまとめている。
1 I章「暖地における飼料生産の現状と課題」では、温暖な気象条件を活かした、暖地での二毛作栽培の特徴( 図1)や課題、基本的な作型や播種作業時期などをまとめている。
2 II章「スーダングラス不耕起栽培技術の概要と特徴」では、より短期間での播種作業が可能な省力技術として体系化した不耕起栽培技術とその適用地域や導入した場合の栽培暦、不耕起栽培に用いる播種機や作業工程•手順( 図2)、必要な雑草対策、省力効果や導入コストなどを紹介している。
3 体系化したスーダングラスの不耕起栽培(技術)を導入すると、一般的な耕起栽培の収量を下回ることなく、播種作業時間の削減( 図3)や播種期間の短縮効果(省力化)、作付面積の拡大や播き遅れによる収量低下リスク軽減効果(適期作業の実施、生育期間の確保)、軽油消費量の削減(省エネ)などの効果が期待できる。実証試験の事例では、耕起栽培に対して一定期間中の播種可能面積は2倍以上拡大し、播種作業時間では56%、軽油消費量では74%の削減効果が認められた。
4 III章「技術導入の事例と経営評価」では、技術導入事例として飼料生産組織での現地実証試験結果などから、作業時間や生産コストの削減( 図4)、収益改善などの経営的な導入効果を紹介している。
今後の予定•期待
適用地域は九州地域のような暖地(年平均気温14℃~16℃)のほか、飼料作物の二毛作が可能な関東以西の温暖地(年平均気温12℃~14℃)。また、本技術の導入には一定のコストが必要になるので、飼料生産組織のような大規模な飼料生産を行う経営体を中心にその導入が期待される。本手順書や 技術紹介動画 7)などを活用して、夏作飼料の生産拡大•安定化を通して、周年栽培及び畜産経営の安定化や地域的な土地利用の効率化にもつ繋がるよう、本技術の普及活動に取り組む。用語の解説
スーダングラス
スーダングラスはソルガム(イネ科の飼料作物)の一種で夏季に栽培される一年生の作物だ。おもに繁殖雌牛の飼料として利用される。その収穫•調製方法は牧草と同じロールベール体系が一般的だ。
不耕起栽培技術
不耕起栽培技術は、ほ場を耕さずに種を播いて栽培する技術(本文では便宜上「不耕起栽培」とも表記する)。耕起栽培の播種では、堆肥散布、耕耘、播種•施肥、覆土、鎮圧と5つの作業工程を要すが、不耕起栽培では除草剤散布、播種(同時施肥)の2工程で終えることができるのが特徴だ。不耕起栽培では土壌と堆肥を混和する工程が省かれるので、耕起栽培で行われる堆肥施用はできない。
不耕起播種機
不耕起栽培を行う場合、ほ場を耕起していない条件でも種を播ける播種機が必要になる。技術開発にあたっては、エンバクやライムギなどの飼料用麦類やイタリアンライグラスなどの牧草にも使用できる不耕起播種機(施肥ユニット付)、Great Plains社製3P606NTを使用した。なお、本機はほ場を耕起した場合でも、耕起後にローラ等で鎮圧し、播種床を造成すれば播種できる。
飼料生産組織
畜産経営の規模拡大等が進むなか、飼料生産(作業)を外部化し、家畜の飼養管理に集中することで生産性の向上や経営改善を図る経営が増加している。収穫作業等を受託する飼料生産組織(コントラクター等)などは、外部支援組織として畜産経営の自給飼料生産や飼料調製に係る負担の軽減につながる役割を担っている。
雑草対策
耕起栽培では耕起•整地作業により雑草が除かれるため、播種後に発生する雑草だけを防除すればよいですが、不耕起栽培では播種時に発生している雑草も防除する必要があり、双方の雑草対策が必要になる。
標準作業手順書(SOP:Standard Operation Procedures)
技術の必要性、導入の条件、具体的な導入手順、導入例、効果等を記載した手順書。農研機構は重要な技術についてSOPを作成し社会実装(普及)を進める方針としている。
技術紹介動画
動画サイトYouTubeで以下の技術紹介動画を公開している。「耕さずに種を播く!飼料作物の不耕起播種•栽培技術の紹介」(農研機構 NAROchannel 2022年2月)
https://www.youtube.com/watch?v=DV50eD2bIsQ
発表論文
1 技術紹介パンフレット「大規模飼料生産におけるスーダングラスの不耕起栽培技術マニュアル」(農研機構 九州沖縄農業研究センター刊、2020年4月)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/138253.html
2 スーダングラス(Sorghum sudanense (Piper) Stapf)の不耕起栽培における収量および雑草防除方法の検討と播種作業の省力効果(日本草地学会誌64:91-98)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/grass/64/2/64_91/_article/-char/ja
参考図表
輸入飼料価格の高止まり傾向や農業者の高齢化、労働力不足が続くなか、省力的に国産飼料を増産し、畜産経営の安定化を図ることが喫緊の課題となっている。九州のような温暖な地域では夏冬を通して同じほ場に2種類の異なる飼料作物を作付けする二毛作が普及しているが、経営規模が拡大し、作付面積が拡大する場合など、前作の収穫作業と後作の播種作業との競合がより起きやすくなる問題があるう。
特に夏季に作付けする場合は、梅雨などの天候の制約を受けて播種作業の期間が限られるためより効率的に作業ができる省力栽培技術が求められていた。 スーダングラス 1)は、ソルガム類の一種で、夏季に作付けされる一年生のイネ科の飼料作物だ。初期生育が早いので雑草との競合に強く、収穫後も再生するため、複数回収穫できる特徴がある。おもに繁殖牛向けの粗飼料として広く利用される夏作の基幹作物の一つだ。

農研機構ではこのスーダングラスを対象に、播種作業の工程を大幅に省略した 不耕起栽培技術 2)を開発•体系化し、スーダングラスの不耕起栽培適性や市販の 不耕起播種機 3)を利用した作業方法などをまとめた技術マニュアルを公表している。
この度、生産現場へのさらなる普及推進を図るため、 飼料生産組織 4)の協力のもと、経営的な導入効果の事例を新たに加えるとともに、導入に必要な機材、手順、 雑草対策 5)や、作業の省力化効果などをより詳細に解説した本技術の 標準作業手順書 6)を作成•公開した。
本技術の導入によりスーダングラスの作付面積拡大や飼料生産ほ場の年間収量増加が期待できる。現地実証試験の事例では、一定期間中の播種可能面積は耕起栽培に対して2倍以上に拡大(規模拡大)、作業時間では56%の削減(省力化)、軽油消費量では74%の削減(省エネ)などの経営的な効果が認められた。本手順書を活用し普及機関や関係団体等を通じて、本技術の生産現場への導入推進を図ることで、夏作飼料の生産拡大、国産飼料の増産への波及が期待される。

【標準作業手順書掲載URL】スーダングラス不耕起栽培技術標準作業手順書
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/161982.html
<関連情報>
予算:革新的技術開発•緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)「気象リスクに対応した安定的な飼料作物生産技術の開発」JP17063899
この件の問い合わせ先
研究推進責任 : 農研機構 九州沖縄農業研究センター所長 原田久富美
研究担当者 : 同 暖地畜産研究領域 飼料生産グループグループ長補佐 吉川好文
広報担当者 : 同 研究推進室 広報チーム金川 美穂
<詳細情報>
開発の社会的背景
輸入飼料価格の高止まり傾向や農業者の高齢化、労働力不足が続くなか、国産飼料の生産•供給基盤の強化が急務となっている。九州地域は全国でも有数の畜産地帯であり、その温暖な気象条件を活かして年2回の作付けを行う二毛作などの周年栽培による飼料生産が行われてきた。
しかし、作付けや収穫等の作業回数などが増えるため、面積拡大や大規模化を図る経営では、作業競合や労働過重、作業の遅延などが問題となっていた。特に夏作では6月から7月にかけて梅雨があり、天候の制約を受け、播種作業の期間が限られるため、作業が計画通り進まず、夏作飼料の生産拡大や収量安定化などを阻害する要因の一つとなっていた。
そのため、限られた期間内により効率的に播種作業ができ、安定的な収量確保と周年栽培が期待できる省力技術が求められていた。そこで、特に九州地域に多い肉用牛の繁殖牛向けの粗飼料として広く利用されているスーダングラスを対象に、不耕起栽培技術の開発に取り組んだ。
研究の経緯
不耕起栽培の実施にあたっては、対象とする作物が不耕起栽培に適しているか、有効な雑草対策技術があるかなどの課題を解決する必要があるう。また、不耕起播種に対応した播種機を導入することになるため、生産現場における本技術の導入要件(目安)や経営的なメリットなどを明らかにする必要がある。
そこで、おもに繁殖牛向けに利用されるスーダングラスを対象に、その不耕起播種には市販の不耕起播種機が利用できること、スーダングラスが不耕起栽培に適していることを明らかにするとともに、不耕起の条件で有効な雑草対策技術を開発した。
さらに飼料生産組織の協力のもと、実際の営農現場の飼料畑に不耕起栽培を導入した実証試験を行うことにより研究開発を進め、今回、生産現場への普及推進を図るため、必要な機材や手順導入事例や効果などを示した標準作業手順書を公開した。
研究の内容•意義
本手順書では、スーダングラスの不耕起栽培技術について、一般的な耕起栽培と比較しながら、播種作業を大幅に省力化できる仕組みとメリット、収量水準やコスト、必要な播種機や雑草防除対策、導入効果や条件(留意点)などをまとめている。
1 I章「暖地における飼料生産の現状と課題」では、温暖な気象条件を活かした、暖地での二毛作栽培の特徴( 図1)や課題、基本的な作型や播種作業時期などをまとめている。
2 II章「スーダングラス不耕起栽培技術の概要と特徴」では、より短期間での播種作業が可能な省力技術として体系化した不耕起栽培技術とその適用地域や導入した場合の栽培暦、不耕起栽培に用いる播種機や作業工程•手順( 図2)、必要な雑草対策、省力効果や導入コストなどを紹介している。
3 体系化したスーダングラスの不耕起栽培(技術)を導入すると、一般的な耕起栽培の収量を下回ることなく、播種作業時間の削減( 図3)や播種期間の短縮効果(省力化)、作付面積の拡大や播き遅れによる収量低下リスク軽減効果(適期作業の実施、生育期間の確保)、軽油消費量の削減(省エネ)などの効果が期待できる。実証試験の事例では、耕起栽培に対して一定期間中の播種可能面積は2倍以上拡大し、播種作業時間では56%、軽油消費量では74%の削減効果が認められた。
4 III章「技術導入の事例と経営評価」では、技術導入事例として飼料生産組織での現地実証試験結果などから、作業時間や生産コストの削減( 図4)、収益改善などの経営的な導入効果を紹介している。
今後の予定•期待
適用地域は九州地域のような暖地(年平均気温14℃~16℃)のほか、飼料作物の二毛作が可能な関東以西の温暖地(年平均気温12℃~14℃)。また、本技術の導入には一定のコストが必要になるので、飼料生産組織のような大規模な飼料生産を行う経営体を中心にその導入が期待される。本手順書や 技術紹介動画 7)などを活用して、夏作飼料の生産拡大•安定化を通して、周年栽培及び畜産経営の安定化や地域的な土地利用の効率化にもつ繋がるよう、本技術の普及活動に取り組む。用語の解説
スーダングラス
スーダングラスはソルガム(イネ科の飼料作物)の一種で夏季に栽培される一年生の作物だ。おもに繁殖雌牛の飼料として利用される。その収穫•調製方法は牧草と同じロールベール体系が一般的だ。

不耕起栽培技術
不耕起栽培技術は、ほ場を耕さずに種を播いて栽培する技術(本文では便宜上「不耕起栽培」とも表記する)。耕起栽培の播種では、堆肥散布、耕耘、播種•施肥、覆土、鎮圧と5つの作業工程を要すが、不耕起栽培では除草剤散布、播種(同時施肥)の2工程で終えることができるのが特徴だ。不耕起栽培では土壌と堆肥を混和する工程が省かれるので、耕起栽培で行われる堆肥施用はできない。
不耕起播種機
不耕起栽培を行う場合、ほ場を耕起していない条件でも種を播ける播種機が必要になる。技術開発にあたっては、エンバクやライムギなどの飼料用麦類やイタリアンライグラスなどの牧草にも使用できる不耕起播種機(施肥ユニット付)、Great Plains社製3P606NTを使用した。なお、本機はほ場を耕起した場合でも、耕起後にローラ等で鎮圧し、播種床を造成すれば播種できる。
飼料生産組織
畜産経営の規模拡大等が進むなか、飼料生産(作業)を外部化し、家畜の飼養管理に集中することで生産性の向上や経営改善を図る経営が増加している。収穫作業等を受託する飼料生産組織(コントラクター等)などは、外部支援組織として畜産経営の自給飼料生産や飼料調製に係る負担の軽減につながる役割を担っている。
雑草対策
耕起栽培では耕起•整地作業により雑草が除かれるため、播種後に発生する雑草だけを防除すればよいですが、不耕起栽培では播種時に発生している雑草も防除する必要があり、双方の雑草対策が必要になる。
標準作業手順書(SOP:Standard Operation Procedures)
技術の必要性、導入の条件、具体的な導入手順、導入例、効果等を記載した手順書。農研機構は重要な技術についてSOPを作成し社会実装(普及)を進める方針としている。
技術紹介動画
動画サイトYouTubeで以下の技術紹介動画を公開している。「耕さずに種を播く!飼料作物の不耕起播種•栽培技術の紹介」(農研機構 NAROchannel 2022年2月)
https://www.youtube.com/watch?v=DV50eD2bIsQ
発表論文
1 技術紹介パンフレット「大規模飼料生産におけるスーダングラスの不耕起栽培技術マニュアル」(農研機構 九州沖縄農業研究センター刊、2020年4月)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/138253.html
2 スーダングラス(Sorghum sudanense (Piper) Stapf)の不耕起栽培における収量および雑草防除方法の検討と播種作業の省力効果(日本草地学会誌64:91-98)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/grass/64/2/64_91/_article/-char/ja
参考図表

図1 冬作と組み合わせたスーダングラスの作付体系
上段(例1)2回刈りを行う体系 下段(例2)梅雨明け後に播種、1回刈りを行う体系
共通 6月~7月前半は梅雨の期間にあたるため計画的な作業は困難

図2 耕起栽培と不耕起栽培の播種作業工程の違い

図3 10aあたりの播種作業時間の比較
播種に直接関わるほ場内での作業を対象とし、作業機の付け替え、ほ場間の移動、種子や肥料の補給、除草剤の調製に係る各時間は含まない。

図4 不耕起栽培の導入効果(スーダングラス•生産物1tあたり)
※図中の数値は耕起栽培を1とした場合の不耕起栽培の各指標の比率。耕さずに種を播く! 飼料作物スーダングラスの不耕起播種・栽培技術の標準作業手順書を公開