2021.06.01(火)

「ゼロから始める野菜塾」を開講!遊休地を活用し参加者皆で

ゼロから野菜づくりを学び、有機栽培等による高付加価値化と

新しい町の特産野菜を育成(飯綱町)

   「日本一のりんごの町」を目指している上水内郡飯綱町では、りんごだけではなく野菜栽培の底辺拡大、町の新しい特産野菜の育成、有機栽培による付加価値化などを目的に、多様な農業者を対象とする「ゼロから始める野菜塾」を令和3年度から開講した。
   この講座は信州大学工学部の大井美知男特任教授を講師に迎え、文字通り「ゼロ」から野菜づくりについて勉強しながら、町内遊休地を活用した圃場で受講生が主体的に試験栽培を行う。

農家民泊での野菜作りの様子(2019年5月)
   この講座は受講者皆で「ゼロ」から始める野菜塾として、受講者が学びたいことを決め、専門講師の指導の下に、一緒に学びを進めていく「勉強会」だ。決められたテーマについての知識や技術を学ぶのではなく、例えば「野菜栽培の何を学びたいのか」「どんな野菜をどう栽培したいのか」など、学ぶテーマから内容•進め方までを参加者と講師が一緒になって決めていくことで、誰もが気軽に参加でき、参加者自らが創っていく講座として、満足度と実効性の高い講座づくりを目指している。
□事業内容 参加者と講師が一緒になって野菜づくりについての学ぶテーマ、内容、進め方を決定していく勉強会
□実施回数等 概ね月2回の勉強会及び栽培作目決定後、試験栽培を実施する
□募集対象 これから野菜栽培を始めたい人、野菜栽培を既に行っている人で野菜に興味•関心をお持ちの方(申し込みはすでに締め切っている)
□講師 信州大学工学部特任教授 大井美知男氏

大井美知男特任教授
[講師プロフィール]
   1950年東京生まれ。京都大学農学研究科修了。1992年信州大学農学部助教授。2009年大学院農学研究科教授。研究分野は蔬菜園芸学。農学博士。現在は信州大学工学部特任教授として、様々な研究を行っている。主な書籍は『地域を照らす伝統作物 信州の伝統野菜・穀物と山の幸』。[第1回目の開催状況]
   5月20日(木)に第1回目の講座が開講された。この日は13名が参加し、取り組んでみたい野菜栽培や今後の進め方などについて闊達な意見交換を行った。「有機栽培」「土づくり」「循環型農業」などについて勉強したいとの声が多かったことから、これらをテーマの軸とした講座内容とし、隔週木曜の午後に勉強会を行うことが決定した。これにより今年度は概ね月2回の座学による勉強会を行うとともに、栽培したい作目を次回以降に決定し、夏以降に遊休地を活用して試験栽培を行っていくこととなった。

第1回目の様子
【事業の背景•目的】
   飯綱町は地方創生関連事業で、これまで様々な事業に取り組んでおり、農業分野においては、特に「稼ぐ力」の向上を重点に6次産業化に向けた施策を多角的に進めている。その一つの成果として、町内3直売施設の経営統合及び経営統合に伴う三本松エリアへの農業拠点(新直売施設及び加工施設等の新設)整備を実施したが、農業者の高齢化や担い手不足により、農産物全体の生産量は減少傾向にあることから、農産物の販売拠点が整ってきた一方で、生産基盤の根幹が脆弱化しているという課題が顕在化している。
   また、果樹•米などの特産地として知られる飯綱町だが、野菜類の生産においては主力と呼べる農産物が少ないこと、更に近年のオーガニック思考の高まりの中にあって、農産物の付加価値化や今後の農産業の方向性として、有機栽培等による「持続可能な農業経営」を大きなテーマと捉えてきた。
   そこで町の特産品である果樹•米に加え、野菜生産の拡大を農業振興の一つと位置付け、町内の野菜栽培農家の拡大、新しい町の特産農産物の育成に向け、町内の多様な方々を対象に気軽に農業生産に取り組んでもらう、或いは現在の農業経営にプラスアルファとして付加価値の高い農産物生産にチャレンジしてもらうことで、農業の「稼ぐ力」の向上と多様な農業者の確保•育成を目的に、「野菜」をテーマとする講座を開講した。
 
   この件のお問い合わせ先は飯綱町産業観光課 農政係まで(電話026-253‐4765   FAX026-253-6869<平日8:30~17:15>   e-mail: nousei@town.iizuna.nagano.jp)。