2020.12.16(水) |
農林水産業みらい基金の2020年度助成対象事業 決定、本年度の助成対象事業として合計8件 助成総額7億6,052万円に |
---|
わたくしたち農林水産業みらい基金は、この度2020年度における助成対象事業を決定した。農林水産業みらい基金では、「農林水産業と食と地域のくらしへの貢献」に向けて「前例にとらわれず創意工夫にあふれた取り組みで、直面する課題の克服にチャレンジしている地域の農林水産業者へのあと一歩の後押し」を行うための助成活動を行っている。
2020年6月3日から7月31日まで一般公募を行いましたところ、全国各地より計147件の応募を頂いた。今回ご応募頂いた申請について厳正な審査を行った結果、本年度の助成対象事業として合計8件(前年比±0件)、助成総額7億6,052万円を決定した [1]。助成対象事業は別紙のとおりだ。今後、助成対象事業に対する資金助成とともにそれぞれの取り組みを広く紹介していく。来年度についても募集要項の見直しを行いながら、農林水産業の発展に向けた助成事業を行っていくとしている。
[1] 申請額ベースの金額であり、実際の助成金額と異なる場合がある。助成対象事業1件あたりの最大助成額は2億2,500万円、最小助成額は1,437万円だ。
2020年度助成決定事業
■助成先①(農業)
事業主体 (株)さかうえ
プロジェクト名 地域の未来を支えるアグリバレー構想
事業地 鹿児島県 志布志市
・同社はピーマン等の野菜や牧草飼料等の生産を中心に行っている農業法人である。これまでピー
マン栽培についてビジネスモデルを構築し、就農を希望する人材を社内で育成し独立支援も
行ってきた。
・このプロジェクトは地域で課題となっている耕作放棄地を肉牛の放牧地として活用すべく、技術
の活用により、低コストで黒毛和牛を育成する新たな畜産ビジネスモデルを構築するととも
に、同社内で人材を育成し、ピーマン同様、モデルの横展開も図る取り組みである。
・放牧は牛舎での肥育と比較して、必ずしも肥育の効率が良くないこと、細かな生産性の管理が
しづらいこと等が課題であったが、本事業では大学と連携し、胎児期や新生児期の栄養管理に
より体質を制御する「代謝プログラミング」を施すことで、肉質•肉量の向上を図るほか、IoT
を活用した飼養管理の効率化を図る。
・同社が中心となって放牧による肥育牛生産だけでなく、健康志向による嗜好性の変化も捉えた
赤身肉のマーケット拡大や人材育成についても取り組むことで、地域の新たな産業づくり、耕
作放棄地解消、そして地域や世代を超えた波及を目指す。
■助成先②(農業)
事業主体 農匠ナビ(株)
プロジェクト名 農匠技術開発プラットフォーム構築-農家目線の次世代稲作イノベーションを目
指して-
事業地 滋賀県彦根市、茨城県龍ヶ崎市ほか
・同社は水管理の改善に繋がる自動給水機の開発等を農家目線で行うべく、大規模な稲作農業法
人を中心に立ち上げられた株式会社。
・稲作における水管理の重要性は知られているが、全国の7割がパイプラインのない開水路水田
となっており、用水路の形状や給水方法が地域によって区々であることや、自動給水機の導入
コストがボトルネックとなって、普及が進んでいない状況となっている。
・このプロジェクトは同社が全国の稲作経営者をはじめ、大学・行政・JAと連携して、全国の
多様な圃場の状況に対応できるような自動給水機の汎用化•低コスト化を図るとともに、自動給
水機使用や水管理のノウハウを全国から集積し、可視化することで「農匠技術開発プラット
フォーム」を構築するものだ。
・今後、担い手への集約化や生産委託が進むと、分散した多くの圃場を管理する必要性が増し、
水管理の省力化•高度化の重要性はますます高まることが想定される。自動給水機の普及に加
え、「農匠技術開発プラットフォーム」の構築により、水管理にかかるノウハウを共有できるよ
うにすることで、次世代の後継者育成にも貢献することを目指す。
■助成先③(農業)
事業主体 幕別町農業協同組合
プロジェクト名 レタス生産から販売までトータルリモートモニタリングを実現し、高品質•安定
出荷による所得向上実証プロジェクト
事業地 北海道中川郡 幕別町
・同組合管内では葉物野菜をはじめとした多品目の作物が生産されている。
・同組合は沖縄の販売先に対し、レタスなどの葉物野菜を出荷しているが、輸送には6日間を要す
る。このためこの地域では、厳密な出荷ルールを定めて品質を吟味したレタスを出荷している
がそれでも着荷後に商品とならないロスが発生し、費用をかけて廃棄されるレタスもある状況
だ。
・本事業は「トータルリモートモニタリングシステム」を活用し、生産者とJA、販売先を繋ぐ取組みである。本システムにより販売先にとっては、産地から播種•定植の状況や生育予測等の状況など、青果流通に有益な情報を得ることができるようになるほか、生産地においては販売先から着荷時の品質情報のフィードバックを受け、販売先の実需に応じた品質管理を行うべく、PDCAを回すことが可能になる。
・生産者•JA•販売先がそれぞれ必要な情報を共有しつつ、目線を合わせることでより高品質な
農産物の安定供給を可能にし、ロスの削減や生産者所得向上に繋げることを目指す。
■助成先④(林業)
事業主体 (株)岩手くずまきワイン
プロジェクト名「森から生まれたワイン」で未来に乾杯!
事業地 岩手県岩手郡 葛巻町
・同社は地域資源である山ぶどうを原料としたワインを生産するワイナリーだ。
・国内には約300のワイナリーがあると言われ、それぞれ特色あるワインづくりが行われている
が、ワイン樽についてはフレンチオークなど海外産の樽が活用されることが多く、土やぶどう
にこだわっているワイナリーのなかには、「フランスの樽で醸造するとフランス産のワインの
ようになってしまう」との声もある。
・本事業は同社が製材業者や樽メーカー、大学と連携して、国産のミズナラをはじめとした広葉
樹をワインの樽材として利活用することに挑戦する取り組みだ。
・本事業により広葉樹の利用拡大を図るだけでなく、FSC認証の取得により認証材の利用拡大
を通じ、広葉樹の適切な循環や山元への利益還元に繋げていく。
・また樽材も含めたワインづくりの過程や関係者を物語化する広報アプリの開発も計画しており
このような「ストーリー」を消費者に訴求することで、「日本ワイン」自体の付加価値向上も
目指す。
■助成先⑤(林業)
事業主体 一般社団法人SAVE IWATE
プロジェクト名 眠れる森の宝「和ぐるみ・山ぶどう」の全活用
事業地 岩手県 盛岡市
・同法人は東日本大震災をきっかけに設立され、復興にかかる活動を行っている。
・国内で流通するほぼ全てのクルミは海外産であり、オニグルミに代表される「和ぐるみ」は、岩
手県をはじめ東北地方に広く自生し、味の良さについては知られているものの、殻が固く身も
小さく剥きづらいことから、その加工コストの高さが販売•流通が進まない最大のボトルネック
となっている。
・また同じく地域の資源といえる「山ぶどう」についても、その樹皮がかご細工の原料として活
用されているが、樹皮の採取に適した山ぶどうを探すのは労力がかかる作業となっている。
・今回のプロジェクトは、低コストで和ぐるみの剥き実を生産できる機械を開発•導入するととも
に、剥き実の過程で発生した副産物の利活用(くるみのオイル•くるみの炭)や、山ぶどうの植栽
を行うものだ。
・これらの取り組みにより和ぐるみの収益化や、山ぶどうの樹皮の安定的な確保を可能にするこ
とで、被災者の収入確保や被災地域の活性化に繋げていくことを目指す。
■助成先⑥(林業)
事業主体 中勢森林組合
プロジェクト名 3つのデジタル化による現場•流通のスマート化”三重モデル”の構築
事業地 三重県 津市
・同組合は県内で最も素材生産量が多い森林組合で、境界明確化や資源量調査などのデジタル化
の取り組みにも着手している。
・一方で生産現場においては、作業指示などは口頭連絡が中心で、現場での進捗状況確認やトラ
ブル発生時の対応なども含め、時間や作業の無駄が発生している。
・また流通段階においても、川下の事業者と県内の森林組合がそれぞれ個別に材の入出荷や運搬
それらにかかる交渉を行っており、結果的に川下の事業者の需要に応えきれていないこともあ
りった。
・本事業はこれまでの当組合の効率化の取り組みを更に進めるため、中間土場に材の入出荷•運搬•交渉機能を集約化するとともにシステム化を行い、これらの川上・川中・川下における「小さな無駄の蓄積」を可視化して、削減する取り組みだ。
・本事業内容は同組合が先行的に実施するが、助成期間終了後は他の森林組合も巻き込みながら
全体として「小さな無駄」を解消していくことを企図しており、「三重モデル」として、新たな
バリューチェーンの構築や山元への利益還元に繋げることを目指す。
■助成先⑦(水産業)
事業主体 日本サーモンファーム(株)
プロジェクト名 バージ船を活用した大型トラウトサーモンの大規模な海面養殖生産の革新事業
事業地 青森県東津軽郡 今別町
・同社は青森県今別町沿岸において、トラウトサーモンの海面養殖をすでに行っており、これま
で順次生産規模を拡大し、本格的な生産に至っている。
・しかしながら従来どおりの手法で規模を拡大しても、海上での給餌作業が煩雑であり、多額の
設備投資も必要になるため、生産性向上に繋がりづらいほか、給餌作業の安全性をいかに確保
するかという点、また作業が天候によって左右され不安定である点が課題となっていた。
・本事業はこれらの課題を解決するため、これまで同社が培ってきた近接での飽食給餌ノウハウ
と、同社の海外の関連会社におけるバージ船(艀船)を活用した給餌ノウハウを組み合わせ、バー
ジ船を活用した国内初の遠隔生産管理システムを構築するものだ。
・システム構築により給餌作業にかかる安全性も確保されるほか、生産コストを抑えつつ規模拡
大を行うことで、国内においては輸入サーモンと伍していくこと、海外においても東南アジア
を中心に、りんごの「青森」ブランドを活かした輸出を行っていくことが可能になり、地域の
産業振興にも繋げていくことを目指している。
■助成先⑧(水産業)
事業主体 ヤエスイ(合)
プロジェクト名 産地が消費地と連携し利益を産地に誘導する事業
事業地 沖縄県石垣市、千葉県船橋市
・同社は石垣島のマグロはえ縄漁師が設立した合同会社。
・石垣島はマグロの漁場が近く、新鮮なマグロが漁獲できるものの、島内に出荷調整を行うため
の施設がなく、同社の加工能力にも限界があるため、GG(エラと内臓を取り除いた状態)での出
荷を余儀なくされていることから、供給の不安定さや航空便利用にともなう高い出荷コストが
大きな課題となっていた。
・本事業は島内の出荷調整施設や加工施設を整備することで、ロイン(GGからさらに頭と尾を切って4つ割りにしたもの)での輸送を可能にし、出荷コストの削減を図るとともに、消費地においても量販店への販路を有する企業と連携し、量販店のニーズの高いアウトパック加工(量販店のバックヤードで行われている刺身等の加工)を行える施設を整備することで、量販店に石垣島の新鮮なマグロを生の状態で供給するコールドチェーンの整備を図るものだ。
・コールドチェーンの構築により、島の活性化が期待されるほか他の離島など、消費地から距離
のある生産地にとってのモデルケースとなることも目指している。
2020年度申請•助成件数
件数 (前年度) (前年比)
助成申請受付<合計> 147件 95件 +52
産業別 農業 96件 65件 +31
林業 28件 11件 +17
水産業 23件 19件 +4
地域別 北海道・東北 29件 21件 +8
関東・甲信越 43件 21件 +22
東海・北陸・近畿 34件 24件 +10
中国・四国 20件 14件 +6
九州・沖縄 21件 15件 +6
助成対象事業合計 8件 8件 ±0
この件に関するお問い合わせ先は一般社団法人 農林水産業みらい基金まで( ホームページhttp://www.miraikikin.org/)。
2020年6月3日から7月31日まで一般公募を行いましたところ、全国各地より計147件の応募を頂いた。今回ご応募頂いた申請について厳正な審査を行った結果、本年度の助成対象事業として合計8件(前年比±0件)、助成総額7億6,052万円を決定した [1]。助成対象事業は別紙のとおりだ。今後、助成対象事業に対する資金助成とともにそれぞれの取り組みを広く紹介していく。来年度についても募集要項の見直しを行いながら、農林水産業の発展に向けた助成事業を行っていくとしている。
[1] 申請額ベースの金額であり、実際の助成金額と異なる場合がある。助成対象事業1件あたりの最大助成額は2億2,500万円、最小助成額は1,437万円だ。
2020年度助成決定事業
■助成先①(農業)
事業主体 (株)さかうえ
プロジェクト名 地域の未来を支えるアグリバレー構想
事業地 鹿児島県 志布志市
・同社はピーマン等の野菜や牧草飼料等の生産を中心に行っている農業法人である。これまでピー
マン栽培についてビジネスモデルを構築し、就農を希望する人材を社内で育成し独立支援も
行ってきた。
・このプロジェクトは地域で課題となっている耕作放棄地を肉牛の放牧地として活用すべく、技術
の活用により、低コストで黒毛和牛を育成する新たな畜産ビジネスモデルを構築するととも
に、同社内で人材を育成し、ピーマン同様、モデルの横展開も図る取り組みである。
・放牧は牛舎での肥育と比較して、必ずしも肥育の効率が良くないこと、細かな生産性の管理が
しづらいこと等が課題であったが、本事業では大学と連携し、胎児期や新生児期の栄養管理に
より体質を制御する「代謝プログラミング」を施すことで、肉質•肉量の向上を図るほか、IoT
を活用した飼養管理の効率化を図る。
・同社が中心となって放牧による肥育牛生産だけでなく、健康志向による嗜好性の変化も捉えた
赤身肉のマーケット拡大や人材育成についても取り組むことで、地域の新たな産業づくり、耕
作放棄地解消、そして地域や世代を超えた波及を目指す。
■助成先②(農業)
事業主体 農匠ナビ(株)
プロジェクト名 農匠技術開発プラットフォーム構築-農家目線の次世代稲作イノベーションを目
指して-
事業地 滋賀県彦根市、茨城県龍ヶ崎市ほか
・同社は水管理の改善に繋がる自動給水機の開発等を農家目線で行うべく、大規模な稲作農業法
人を中心に立ち上げられた株式会社。
・稲作における水管理の重要性は知られているが、全国の7割がパイプラインのない開水路水田
となっており、用水路の形状や給水方法が地域によって区々であることや、自動給水機の導入
コストがボトルネックとなって、普及が進んでいない状況となっている。
・このプロジェクトは同社が全国の稲作経営者をはじめ、大学・行政・JAと連携して、全国の
多様な圃場の状況に対応できるような自動給水機の汎用化•低コスト化を図るとともに、自動給
水機使用や水管理のノウハウを全国から集積し、可視化することで「農匠技術開発プラット
フォーム」を構築するものだ。
・今後、担い手への集約化や生産委託が進むと、分散した多くの圃場を管理する必要性が増し、
水管理の省力化•高度化の重要性はますます高まることが想定される。自動給水機の普及に加
え、「農匠技術開発プラットフォーム」の構築により、水管理にかかるノウハウを共有できるよ
うにすることで、次世代の後継者育成にも貢献することを目指す。
■助成先③(農業)
事業主体 幕別町農業協同組合
プロジェクト名 レタス生産から販売までトータルリモートモニタリングを実現し、高品質•安定
出荷による所得向上実証プロジェクト
事業地 北海道中川郡 幕別町
・同組合管内では葉物野菜をはじめとした多品目の作物が生産されている。
・同組合は沖縄の販売先に対し、レタスなどの葉物野菜を出荷しているが、輸送には6日間を要す
る。このためこの地域では、厳密な出荷ルールを定めて品質を吟味したレタスを出荷している
がそれでも着荷後に商品とならないロスが発生し、費用をかけて廃棄されるレタスもある状況
だ。
・本事業は「トータルリモートモニタリングシステム」を活用し、生産者とJA、販売先を繋ぐ取組みである。本システムにより販売先にとっては、産地から播種•定植の状況や生育予測等の状況など、青果流通に有益な情報を得ることができるようになるほか、生産地においては販売先から着荷時の品質情報のフィードバックを受け、販売先の実需に応じた品質管理を行うべく、PDCAを回すことが可能になる。
・生産者•JA•販売先がそれぞれ必要な情報を共有しつつ、目線を合わせることでより高品質な
農産物の安定供給を可能にし、ロスの削減や生産者所得向上に繋げることを目指す。
■助成先④(林業)
事業主体 (株)岩手くずまきワイン
プロジェクト名「森から生まれたワイン」で未来に乾杯!
事業地 岩手県岩手郡 葛巻町
・同社は地域資源である山ぶどうを原料としたワインを生産するワイナリーだ。
・国内には約300のワイナリーがあると言われ、それぞれ特色あるワインづくりが行われている
が、ワイン樽についてはフレンチオークなど海外産の樽が活用されることが多く、土やぶどう
にこだわっているワイナリーのなかには、「フランスの樽で醸造するとフランス産のワインの
ようになってしまう」との声もある。
・本事業は同社が製材業者や樽メーカー、大学と連携して、国産のミズナラをはじめとした広葉
樹をワインの樽材として利活用することに挑戦する取り組みだ。
・本事業により広葉樹の利用拡大を図るだけでなく、FSC認証の取得により認証材の利用拡大
を通じ、広葉樹の適切な循環や山元への利益還元に繋げていく。
・また樽材も含めたワインづくりの過程や関係者を物語化する広報アプリの開発も計画しており
このような「ストーリー」を消費者に訴求することで、「日本ワイン」自体の付加価値向上も
目指す。
■助成先⑤(林業)
事業主体 一般社団法人SAVE IWATE
プロジェクト名 眠れる森の宝「和ぐるみ・山ぶどう」の全活用
事業地 岩手県 盛岡市
・同法人は東日本大震災をきっかけに設立され、復興にかかる活動を行っている。
・国内で流通するほぼ全てのクルミは海外産であり、オニグルミに代表される「和ぐるみ」は、岩
手県をはじめ東北地方に広く自生し、味の良さについては知られているものの、殻が固く身も
小さく剥きづらいことから、その加工コストの高さが販売•流通が進まない最大のボトルネック
となっている。
・また同じく地域の資源といえる「山ぶどう」についても、その樹皮がかご細工の原料として活
用されているが、樹皮の採取に適した山ぶどうを探すのは労力がかかる作業となっている。
・今回のプロジェクトは、低コストで和ぐるみの剥き実を生産できる機械を開発•導入するととも
に、剥き実の過程で発生した副産物の利活用(くるみのオイル•くるみの炭)や、山ぶどうの植栽
を行うものだ。
・これらの取り組みにより和ぐるみの収益化や、山ぶどうの樹皮の安定的な確保を可能にするこ
とで、被災者の収入確保や被災地域の活性化に繋げていくことを目指す。
■助成先⑥(林業)
事業主体 中勢森林組合
プロジェクト名 3つのデジタル化による現場•流通のスマート化”三重モデル”の構築
事業地 三重県 津市
・同組合は県内で最も素材生産量が多い森林組合で、境界明確化や資源量調査などのデジタル化
の取り組みにも着手している。
・一方で生産現場においては、作業指示などは口頭連絡が中心で、現場での進捗状況確認やトラ
ブル発生時の対応なども含め、時間や作業の無駄が発生している。
・また流通段階においても、川下の事業者と県内の森林組合がそれぞれ個別に材の入出荷や運搬
それらにかかる交渉を行っており、結果的に川下の事業者の需要に応えきれていないこともあ
りった。
・本事業はこれまでの当組合の効率化の取り組みを更に進めるため、中間土場に材の入出荷•運搬•交渉機能を集約化するとともにシステム化を行い、これらの川上・川中・川下における「小さな無駄の蓄積」を可視化して、削減する取り組みだ。
・本事業内容は同組合が先行的に実施するが、助成期間終了後は他の森林組合も巻き込みながら
全体として「小さな無駄」を解消していくことを企図しており、「三重モデル」として、新たな
バリューチェーンの構築や山元への利益還元に繋げることを目指す。
■助成先⑦(水産業)
事業主体 日本サーモンファーム(株)
プロジェクト名 バージ船を活用した大型トラウトサーモンの大規模な海面養殖生産の革新事業
事業地 青森県東津軽郡 今別町
・同社は青森県今別町沿岸において、トラウトサーモンの海面養殖をすでに行っており、これま
で順次生産規模を拡大し、本格的な生産に至っている。
・しかしながら従来どおりの手法で規模を拡大しても、海上での給餌作業が煩雑であり、多額の
設備投資も必要になるため、生産性向上に繋がりづらいほか、給餌作業の安全性をいかに確保
するかという点、また作業が天候によって左右され不安定である点が課題となっていた。
・本事業はこれらの課題を解決するため、これまで同社が培ってきた近接での飽食給餌ノウハウ
と、同社の海外の関連会社におけるバージ船(艀船)を活用した給餌ノウハウを組み合わせ、バー
ジ船を活用した国内初の遠隔生産管理システムを構築するものだ。
・システム構築により給餌作業にかかる安全性も確保されるほか、生産コストを抑えつつ規模拡
大を行うことで、国内においては輸入サーモンと伍していくこと、海外においても東南アジア
を中心に、りんごの「青森」ブランドを活かした輸出を行っていくことが可能になり、地域の
産業振興にも繋げていくことを目指している。
■助成先⑧(水産業)
事業主体 ヤエスイ(合)
プロジェクト名 産地が消費地と連携し利益を産地に誘導する事業
事業地 沖縄県石垣市、千葉県船橋市
・同社は石垣島のマグロはえ縄漁師が設立した合同会社。
・石垣島はマグロの漁場が近く、新鮮なマグロが漁獲できるものの、島内に出荷調整を行うため
の施設がなく、同社の加工能力にも限界があるため、GG(エラと内臓を取り除いた状態)での出
荷を余儀なくされていることから、供給の不安定さや航空便利用にともなう高い出荷コストが
大きな課題となっていた。
・本事業は島内の出荷調整施設や加工施設を整備することで、ロイン(GGからさらに頭と尾を切って4つ割りにしたもの)での輸送を可能にし、出荷コストの削減を図るとともに、消費地においても量販店への販路を有する企業と連携し、量販店のニーズの高いアウトパック加工(量販店のバックヤードで行われている刺身等の加工)を行える施設を整備することで、量販店に石垣島の新鮮なマグロを生の状態で供給するコールドチェーンの整備を図るものだ。
・コールドチェーンの構築により、島の活性化が期待されるほか他の離島など、消費地から距離
のある生産地にとってのモデルケースとなることも目指している。
2020年度申請•助成件数
件数 (前年度) (前年比)
助成申請受付<合計> 147件 95件 +52
産業別 農業 96件 65件 +31
林業 28件 11件 +17
水産業 23件 19件 +4
地域別 北海道・東北 29件 21件 +8
関東・甲信越 43件 21件 +22
東海・北陸・近畿 34件 24件 +10
中国・四国 20件 14件 +6
九州・沖縄 21件 15件 +6
助成対象事業合計 8件 8件 ±0
この件に関するお問い合わせ先は一般社団法人 農林水産業みらい基金まで( ホームページhttp://www.miraikikin.org/)。