2019.02.22(金)

東北大学大学院農学研究科との共同研究講座開講

2019年4月から2022年3月まで、食用油の酸化と

制御技術を研究しさらなる油脂資源の有益利用へ

   (株)J-オイルミルズ(東京都中央区、八馬史尚代表取締役社長、資本金100億円)は、東北大学大学院農学研究科との食用油の酸化に関する共同研究講座(J-オイルミルズ 油脂イノベーション共同研究講座)を4月1日から2022年3月31日の期間で開講する。 左から

左から:(株)J-オイルミルズ取締役兼常務執行役員 松本英三、東北大学大学院農学研究科長•農学部長 牧野周氏
   食用油脂は複雑な酸化反応が起こることが知られているが、その反応を把握することは難しく、現状十分な理解が得られていない。酸化の制御法が理解されていないことにより、油脂の持っている機能を生かしきれないまま廃棄されるに至ったり、油脂を利用した食品の品質低下が生じたりしている。世界人口の増加による油脂資源の枯渇化が叫ばれる中、貴重な油脂をより有益に利用できる方法を開発することは、今後の社会において非常に重要な課題だ。
   本共同研究講座では、油脂の酸化によって生成する過酸化脂質やそれらから生じる二次酸化生成物を対象として新たな分析技術を確立することで、油脂の様々な酸化反応で生成される成分を把握することを第一目的とする。さらに酸化によって発生する事象のキーポイントを理解して制御すべきポイントを明らかにし、油脂の新たな応用可能性を探索することを第二の目的として取り組む。
   この取り組みにより、これまで見出されていなかった油脂の活用手法および新技術開発を提供することが可能となり、上記の課題解決に貢献できると考えている。研究成果については担当教員の基幹講座所属の学生への指導やセミナー等を通じ、発信していく。
■講座概要
開講期間:2019年4月1日~2022年3月31日
・研究題目:食用油の酸化に関する研究
■講師紹介
教授(兼任):仲川清隆(東北大学大学院農学研究科 生物産業創成科学専攻)

仲川清隆教授(兼任)
●プロフィール
平成11年東北大学農学博士授与、東北大学大学院農学研究科助手、同助教授、同准教授、米国タフツ大学JeanMayer老化栄養研究所へ留学を経て、東北大学大学院農学研究科教授、東北大学農学部応用生物化学科長。専門は食品科学と油化学。
●講座開設にあたってのコメント
油脂食品劣化に関与する過酸化脂質について、その正確な定量に必須な過酸化脂質の高純度標品を合成し、さらには過酸化脂質を異性体レベルで定量できる質量分析法を開発してきた。過酸化脂質の分析に必要な一連の解析技術の完成を図っており、これらの解析技術を駆使して、油脂食品の酸化劣化の機構を解明し、この制御に向けて食品機能成分の活用を検討している。
助教:加藤俊治(東北大学大学院農学研究科 生物産業創成科学専攻)

加藤俊治助教
●プロフィール
平成26年東北大学農学博士授与、東北大学大学院農学研究科博士研究員、日本医科大学糖尿病•内分泌代謝内科 博士研究員を経て、現在東海大学医学部生体防御学分野奨励研究員。専門は分析化学(質量分析)と脂質生化学。
●講座開設にあたってのコメント
脂質酸化物の種類は極めて多岐にわたり、油脂食品に含まれている酸化脂質やその機能性はほとんど解明されていない。本共同研究講座では、私たち独自の質量分析法を用いて食品中に含まれている酸化脂質を詳細に解析し、酸化反応をコントロールするための技術を探索していく。
 
客員教授:今義潤((株)J-オイルミルズ フードデザインセンター兼ソリューション事業部)

今義潤客員教授
●プロフィール
平成3年京都大学農学博士授与同年、(株)ホーネンコーポレーション((株)J-オイルミルズ)入社後、研究開発業務、工場管理業務(搾油・精製・油脂加工)、顧客対応業務(油脂・澱粉)に従事。現在、フードデザインセンター次長として、統合プレゼンテーション施設「おいしさデザイン工房」の責任者を務める。
●講座開設にあたってのコメント
脂質の酸化の中でも、調理中の酸化は古くからのテーマですが、未解明の部分が未だ沢山あり、特に過酸化脂質から生じる二次酸化生成物については、不明な点が多く残されています。これらについて、東北大学と共同で解明を進め、更には調理中の酸化反応をコントロールするための技術研究を行っていきたいと思います。
 
 
<(株)J-オイルミルズ>
コーポレートサイトはこちらhttps://www.j-oil.com/  
集合写真