2022.06.27(月

<外食市場5月の動向>
3年ぶりに行動制限のない大型連休で
家族客中心に回復傾向も夜の集客は戻らず

 
  
一般社団法人日本フードサービス協会(JF=ジェフ本部:東京都港区、近藤正樹会長)は協会会員社 を対象とした外食産業市場動向調査2022年5月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて一昨々年同月比も算出し掲載している。
   全体概況では、5月の全体売上げは120.4%と前年を大幅に上回った。昨年は大都市圏での緊急事態宣言により、酒類提供店や商業施設等への休業要請があったが、今年はGWが3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、家族客を中心に客足が回復した。しかしながら、飲酒業態などを中心に夜間の客足の戻りは鈍く、更に業界の人手不足が売上回復の足かせになって、特に「パブ•居酒屋」はいまも苦戦が続いている。
   業態別概況では、ファーストフード業態の全体売上げは105.7%となった。行動制限の緩和により外食の選択の幅が広がり、テイクアウト需要の勢いは各社でまちまちとなったが、FF洋風を中心に広がったデリバリーや注文のデジタル化など、利便性への支持は衰えず、業態の全体売上げを支えている。但しコロナ前の19年比で108.2%という結果は、FF洋風の好調に支えられたものでそのほかの業種では苦戦しているところが少なくない。
   「洋風」は各社まちまちの前年比となったが、期間限定商品の好調に加え、コロナ前からの多様な施策の展開により、基本商品の売上げは着実に伸び、売上げ101.8%。19年比でも126.2%とコロナ前を大幅に上回った。「和風」は昨年の価格改定による単価上昇や新商品の好調などから売上げ107.9%。「麺類」は今年は酒類提供ができたことや、商業施設での販売回復で、売上げは122.9%となった。
   「持ち帰り米飯/回転寿司」は、テイクアウト需要の一服から「持ち帰り米飯」で反動減が見られたものの、「回転寿司」は連休の家族客を中心に集客好調で、売上げは102.0%となった。「その他」は「カレー」は店内売上げの回復、「アイスクリーム」は商業施設での回復が顕著で、売上げは108.9%となった。
   ファミリーレストラン業態の全体売上げは、136.7%と対前年比は大きく伸びたが、19年対比では86.1%で戻りは鈍い。家族客が回復し、ディナー時間帯の時短制限等はなかったが、夜間の集客はまだ取り戻せていない。
   「洋風」は売上げ129.1%、「和風」は売上げ146.7%となるも、19年比では未だ8割前後にとどまり、回復は道半ばだ。一方「中華」は、引き続き持ち帰りが堅調の上、店内飲食の回復も著しく、売上げは127.0%。「焼き肉」は連休の集客が好調で売上げ159.6%となった。「中華」と「焼肉」はともに19年比でも100%を超えている。
   パブ•居酒屋業態では、「パブ•居酒屋」は売上げ468.9%と一見驚異的な回復に見えるが、昨年は大都市圏の酒類提供店が休業要請を受け、多くの店舗が休業し、また時短営業した店舗ではランチ限定の営業が多く、売上げが非常に小さかったことによる。昨年、一昨年とコロナで大打撃を受けた飲酒業態は、実際には未だ“法人需要”と“夜間の客足”が戻らず、回復に頭打ち感も出ている。19年比では売上げは54.7%と、他業態と比べると回復に大きな差が出ている。
   ディナーレストラン業態では、飲酒業態と同じく売上げは200.1%と見かけ上は大幅上昇となった。今年はディナー時間帯に営業でき、連休中の個人客の集客が好調、またコロナ禍で取り組んだテイクアウト弁当等も売上げを支えた。一方で人手不足や夜間の客足回復に課題が残り、19年比では89.2%となっている。
   喫茶業態は、今年の売上げは休業を余儀なくされた昨年の131.4%。商業施設立地店や駅ビル等での客足が戻り、GWには観光地立地店などが好調。だがオフィス街立地店は日中の戻りが未だ十分でなく、19年比では81.7%となった。

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