2022.05.25(水

<外食市場4月の動向>
営業制限が緩和され客足戻るも
夜間需要の回復は未だ鈍い


   一般社団法人日本フードサービス協会(略称:JF=ジェフ 本部東京都港区 近藤正樹)会長)は、協会会員社を対象とした外食産業市場動向調査2022年4月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて一昨々年同月比も算出し掲載している。
   4月の全体概況では、外食需要は3月22日以降全国でまん延防止等重点措置(以下、重点措置)が解除されたことから、首都圏など一部地域では感染再拡大防止のための自治体の協力依頼があったものの、おおむね回復基調となり全体売上高は113.5%、コロナ禍前の19年比は91.9%となった。
   春休みや土•日曜日、祝祭日を中心に、家族連れが外食需要を牽引し、商業施設立地の店舗などが好調であった。一方コロナ下での生活習慣の変化により、制限緩和後も夜間の客足は依然として早く途絶え、夜の外食需要は戻っていない。また営業回復に必須の人員確保も大きな課題で、一部店舗では人手不足から売上げの回復が遅れている。
   業態別概況ではファーストフード業態が重点措置解除後もテイクアウト需要は底堅く、店内飲食の回復や新商品の展開などもあり、全体的に引き続き堅調に推移した。「洋風」はデリバリー、ドライブスルーの堅調は変わらず、売上げ110.7%。「和風」は夜間の店内営業の再開や新商品 の好調もあり、売上げ107.9%となった。
   「麺類」は酒類提供制限が大幅に緩和され、売上げ109.8%。「持ち帰り米飯/回転寿司」は、「持ち帰り米飯」の家族向け商品が好調で単価が上昇、売上げ102.8%。「その他」は「カレー」が郊外店で振るわなかったものの、「アイスクリーム」のテイクアウト需要が堅調で、商業施設での売上げも回復し、売上げは105.1%となった。
   ファミリーレストラン業態では家族連れが需要回復を牽引し、FR全体の売上げは117.5%となるも、夜の需要が戻らないことなどから19年対比では79.9%に留まった。原材料費の高騰により価格改定に踏み切らざるをえないところも出てきた。
   「洋風」は春休みや祝祭日を中心に家族客が戻り売上げ112.5%。「和風」は重点措置解除後も依然として宴会需要やビジネス街店舗の需要は戻りが悪いが、家族客の増加で売上げは124.3%。
「中華」はテイクアウトとデリバリーの好調が続き、また店内飲食も回復し売上げ114.3%。「焼き肉」は家族客の戻りが好調、夜間営業も再開され売上げは128.1%となった。
   パブ•居酒屋業態では、「パブ•居酒屋」は営業規制により売上激減であった前年と比べると売上げ181.9%と大きく伸びたように見えるが、19年比では売上げ47.6%と、実態はコロナ前の半分にも届いていない。特に二次会など夜遅い時間帯の集客が低調で、また新規感染者数の高止まりと自治体からの感染再拡大防止の注意喚起が続く中では、法人の宴会需要も見込めず今も苦戦が続いている。
   ディナーレストラン業態では、百貨店などの商業施設を中心に個人客の戻りが顕著で、売上げ136.3%となるものの、長引いた規制の影響で夜間の客の退店が早く、加えて法人宴会の需要が戻っていないことなどから、19年比では74.2%となっている。
   喫茶業態では人流の回復に伴い、商業施設立地の店舗など多くの立地で客足が戻り、売上げは113.0%。しかしオフィス街立地では、通勤客が戻る傾向にあるにもかかわらず需要の回復が遅れている。
 
  
この件のお問い合わせは日本フードサービス協会事務局(松崎、亀島、石井)まで(電話03-5403-1060)。