2017.07.06(金) |
2018年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向 海外旅行人数は過去最高*283万人(前年比+4.1%) 国内は家族で帰省、海外はハワイ・近場アジアが人気 |
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JTBは「夏休み(7月15日~8月31日)に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめた。この調査は1,200人から回答を得た旅行動向アンケート、経済指標、業界動向や航空会社の予約状況、JTBグループの販売状況などから推計したもので、1969年に調査を開始して以来、今年で50回目となる。調査結果は以下のとおり。
旅行人数は延べ人数数値。平均費用は一人1回あたりの費用
国内旅行人数は宿泊を伴う旅行者の人数(観光および帰省目的の旅行に限る)
海外旅行人数は出国者数(業務目的の旅行を含む)
国内旅行平均費用は交通費•宿泊費•土産代•食費等の旅行中の諸費用を含む
海外旅行平均費用は燃油サーチャージ含む。旅行先での土産代等の現地支払費用は除く
対前年比は小数点第二位以下を四捨五入
<社会経済環境と生活者の動き>
1.旅行やレジャー消費をとりまく社会や経済の環境
夏休みの旅行に影響する今夏のボーナスは、多くの企業が過去最高を更新した前期の好調な業績を反映し、大手企業の平均額で前年比+6.71%の96万7,386円(6月14日日本経済団体連合会発表)と、1959年の調査開始以来最高を見込んでいる。また5月の完全失業率(季節調整値)は2.2%と前月から0.3ポイント低下と改善し、足元の経済環境は安定している(6月29日総務省発表)。
しかしながら、5月の内閣府の景気ウォッチャー指数(注1)は、前月から1.9ポイント減少し、また日経平均株価も7月に入って2か月半ぶりの安値をつけるなどこの先の景気の不透明感はぬぐえない(図1、図2)。4月以降、生活者にとって身近な商品の値上げが続き、特にガソリン代はここ2年上昇が続いている(図3)。前期の企業業績は個人の所得上昇につながったが、物価の上昇や世界経済の不確実性、現実味を帯びてきた来年秋に予定されている消費増税など、今後の生活への消費者の不安は継続するとみられる。
旅行消費に関しても、同社が実施した旅行動向アンケートで「今後の旅行支出に対する意向」を聞いたところ「支出を増やしたい(14.4%)」が前年より3.8ポイント減少し、「支出を減らしたい(27.5%)」は3.3ポイント増加した。「同程度(54.6%)」は1.5ポイント増加し、この先の旅行支出に関しては慎重な様子がうかがえ、手放しで消費に走れない状況であると言えるでしょう(表2)。(注1)タクシー運転手、小売店の店長など景気に敏感な人への調査結果を指数(DI)化したもの
2.この夏の旅行を取り巻く環境と生活者の旅行意向
今年の夏休み期間は、暦上では7月16日の「海の日」を含む3連休が一回、8月11日の「山の日」は土曜に重なり、昨年より3連休は1回少なくなる。しかしながら企業によってはお盆休みが8月11日から16日までの6連休、あるいは19日までの9連休など、一律に決まっている場合も多いと考えられる。昨今の働き方改革推進や労働環境の見直しが進められていることから、連続休暇取得への後押しが広がっていそうだ。
同アンケートで今年の夏の生活や旅行について聞いたところ、収入に関しては「昨年より収入が減った」と回答した人は21.3%と前年より2.0ポイント減少し、「昨年より収入が増えた」と回答した人は15.8%と前年より0.6ポイント増加した。ボーナスに関しては「今年の夏はボーナスが減りそうだ」と回答した人は6.3%で前年より1.3ポイント減少している。「今年の夏はボーナスが増えそうだ」は4.6%で前年より0.1ポイントの減少で、減少幅は「減りそうだ」と回答した人より少なくなっている。
支出に関しては「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」は43.3%と前年より1.3ポイント増加している。収入減と回答した人が減ったにもかかわらず、大きな支出を控えたいという今の慎重な心理を反映する結果となった。夏休みについては「昨年の夏と休みの長さは変わらない」と回答した人が36.7%(同+5.6ポイント)となった(表3)。
<2018年夏休み旅行動向予測>
1. 海外旅行人数は283万人(前年比+4.1%)、一人あたりの旅行平均費用は214,500円(前年比▲0.7%)。出発日のピークは8月11日(土)、8月12日(日)
5月の日本人出国者数(推計値)は、前年比5.0%増加の138万3,800人で1月から5月までの累計は736万1,800人と前年比3.9%増加となり好調に推移している(日本政府観光局(JNTO)6月20日発表)。旅行代金や旅行心理に影響する為替の大きな変動がここ最近見られないことからも、引き続きこの夏も海外旅行の意向は高い水準にあると考えられる。
また、近年、アジア各国と日本の都市を結ぶLCC路線が増加したことは訪日外国人だけではなく、日本人の旅行者にも新しい交通手段として選択肢を増やしており、アジア方面は韓国、中国、台湾などの近場アジアが人気で前年比5.5%増加の見込みだ。ハワイ方面はハワイ島の火山噴火の影響が心配されたが、前年比5.0%増加と堅調に推移している。ヨーロッパ方面は東欧諸国やフランスが好調で、前年比2.5%増加する予測。以上からこの夏休み期間中の海外旅行人数は283万人(前年比+4.1%)、一人あたりの旅行平均費用は214,500円(前年比▲0.7%)と推計する。海外旅行人数に関しては、これまで最高だった2012年の276万人を超え、過去最高となる。
JTBの海外パッケージツアー「ルックJTB」の予約状況によると、2018年度グローバルディスティネーションキャンペーンを実施しているオーストラリアが好調に推移している。全体的な出発日のピークは、8月11日(土)、8月12日(日)で、ハワイやオセアニア、アジアなどの方面では、出発日が分散し、7月末や8月末の出発も目立つ。旅行代金が比較的安くなる時期をねらって旅行する様子も見られる。
2. 国内旅行人数は7,460万人(前年比±0.0%)、一人あたりの旅行平均費用は34,000円(前年比▲1.2%)。出発日のピークは8月11日(土)~8月15日(水)
一方国内旅行は子供づれの家族旅行が多いため、景気などの影響を受けやすいことから、この夏については、人数は昨年並みの7,460万人(前年比±0.0%)、費用は抑え気味の34,000円(前年比▲1.2%)であると推計する。前述のとおり、足元の雇用環境の改善とは裏腹に、今後の生活への経済的な不安感は継続していると考えられる。
同アンケートでどのような旅行をする予定か聞いたところ、旅行の同行者は「子供づれ(中学生まで)」が36.9%と前年より1.5ポイント増加している(表6)。旅行の目的は「帰省、離れて住む家族と過ごす」が22.4%(前年比+1.4ポイント)と最多だが、「海辺で保養、海水浴」「ハイキング•登山•キャンプ等」も増加している(表7)。宿泊施設は「ホテル」が44.8%(同▲1.6ポイント)、「旅館」が23.5%(同▲1.9ポイント)と前年より減少し、「民宿・ペンション」や、キャンプ場やロッジなどの「その他」が増加した(表8)。利用交通機関では「乗用車」「レンタカー」は減少し、「航空機」は増加となった(表9)。
旅行日数は「1泊2日」45.3%(同+2.2ポイント)と「3泊4日」14.0%(同+3.0ポイント)が増加し、「2泊3日」32.6%は前年より2.8ポイント減少した(表10)。一人あたりの旅行費用で多かったのは、2万円未満(22.1%)と3万円未満(22.7%)だ(表11)。以上から今夏は、帰省を兼ねた子供づれの旅行が多そうだ。旅館やホテルの利用が減少し、テーマパーク•レジャー施設も前年から減少していることから、旅行はするが節約したいという気持ちが表れていると思われる。
国内旅行先では、沖縄(4.7%)、東北(11.0%)、北陸(5.8%)などが前年より増加している(表12)。JTB総合研究所が行ったインターネット調査で、国内旅行先を選んだ理由を聞いたところ、北海道、東北、中国四国、九州は「帰省先」、北陸、東北は「行きたい旅行先がある」、甲信越、東海は「泊まりたい宿泊施設がある」、関東は「参加したいイベントの開催地」が多くなった。また、同調査で「今年の夏休みで気になっている場所」を聞いたところ、「食をメインにしたイベント」が最も多くなった。夏休みらしく「花火大会」「動物園や水族館」などファミリーが行きやすい場所が人気だ。
JTBの国内パッケージツアー「エースJTB」の予約状況によると、出発日ピークは8月11日(土)~8月15日(水)となっている。ファミリーでリゾートを満喫することができる沖縄の離島や4月に名古屋にオープンした「レゴランド®・ジャパン・ホテル」に泊まるプランなどが人気だ。
<旅行動向アンケート 調査方法>
調査地点: 全国200地点
調査実施期間: 2018年6月1日~13日
調査対象: 全国15歳以上79歳までの男女個人
サンプル数: 1,200名
調査内容: 2018年7月15日から8月31日に実施する1泊以上の旅行
調査方法: 調査員による質問用紙を使った個別訪問調査
旅行人数は延べ人数数値。平均費用は一人1回あたりの費用
国内旅行人数は宿泊を伴う旅行者の人数(観光および帰省目的の旅行に限る)
海外旅行人数は出国者数(業務目的の旅行を含む)
国内旅行平均費用は交通費•宿泊費•土産代•食費等の旅行中の諸費用を含む
海外旅行平均費用は燃油サーチャージ含む。旅行先での土産代等の現地支払費用は除く
対前年比は小数点第二位以下を四捨五入
<社会経済環境と生活者の動き>
1.旅行やレジャー消費をとりまく社会や経済の環境
夏休みの旅行に影響する今夏のボーナスは、多くの企業が過去最高を更新した前期の好調な業績を反映し、大手企業の平均額で前年比+6.71%の96万7,386円(6月14日日本経済団体連合会発表)と、1959年の調査開始以来最高を見込んでいる。また5月の完全失業率(季節調整値)は2.2%と前月から0.3ポイント低下と改善し、足元の経済環境は安定している(6月29日総務省発表)。
しかしながら、5月の内閣府の景気ウォッチャー指数(注1)は、前月から1.9ポイント減少し、また日経平均株価も7月に入って2か月半ぶりの安値をつけるなどこの先の景気の不透明感はぬぐえない(図1、図2)。4月以降、生活者にとって身近な商品の値上げが続き、特にガソリン代はここ2年上昇が続いている(図3)。前期の企業業績は個人の所得上昇につながったが、物価の上昇や世界経済の不確実性、現実味を帯びてきた来年秋に予定されている消費増税など、今後の生活への消費者の不安は継続するとみられる。
旅行消費に関しても、同社が実施した旅行動向アンケートで「今後の旅行支出に対する意向」を聞いたところ「支出を増やしたい(14.4%)」が前年より3.8ポイント減少し、「支出を減らしたい(27.5%)」は3.3ポイント増加した。「同程度(54.6%)」は1.5ポイント増加し、この先の旅行支出に関しては慎重な様子がうかがえ、手放しで消費に走れない状況であると言えるでしょう(表2)。(注1)タクシー運転手、小売店の店長など景気に敏感な人への調査結果を指数(DI)化したもの
2.この夏の旅行を取り巻く環境と生活者の旅行意向
今年の夏休み期間は、暦上では7月16日の「海の日」を含む3連休が一回、8月11日の「山の日」は土曜に重なり、昨年より3連休は1回少なくなる。しかしながら企業によってはお盆休みが8月11日から16日までの6連休、あるいは19日までの9連休など、一律に決まっている場合も多いと考えられる。昨今の働き方改革推進や労働環境の見直しが進められていることから、連続休暇取得への後押しが広がっていそうだ。
同アンケートで今年の夏の生活や旅行について聞いたところ、収入に関しては「昨年より収入が減った」と回答した人は21.3%と前年より2.0ポイント減少し、「昨年より収入が増えた」と回答した人は15.8%と前年より0.6ポイント増加した。ボーナスに関しては「今年の夏はボーナスが減りそうだ」と回答した人は6.3%で前年より1.3ポイント減少している。「今年の夏はボーナスが増えそうだ」は4.6%で前年より0.1ポイントの減少で、減少幅は「減りそうだ」と回答した人より少なくなっている。
支出に関しては「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」は43.3%と前年より1.3ポイント増加している。収入減と回答した人が減ったにもかかわらず、大きな支出を控えたいという今の慎重な心理を反映する結果となった。夏休みについては「昨年の夏と休みの長さは変わらない」と回答した人が36.7%(同+5.6ポイント)となった(表3)。
<2018年夏休み旅行動向予測>
1. 海外旅行人数は283万人(前年比+4.1%)、一人あたりの旅行平均費用は214,500円(前年比▲0.7%)。出発日のピークは8月11日(土)、8月12日(日)
5月の日本人出国者数(推計値)は、前年比5.0%増加の138万3,800人で1月から5月までの累計は736万1,800人と前年比3.9%増加となり好調に推移している(日本政府観光局(JNTO)6月20日発表)。旅行代金や旅行心理に影響する為替の大きな変動がここ最近見られないことからも、引き続きこの夏も海外旅行の意向は高い水準にあると考えられる。
また、近年、アジア各国と日本の都市を結ぶLCC路線が増加したことは訪日外国人だけではなく、日本人の旅行者にも新しい交通手段として選択肢を増やしており、アジア方面は韓国、中国、台湾などの近場アジアが人気で前年比5.5%増加の見込みだ。ハワイ方面はハワイ島の火山噴火の影響が心配されたが、前年比5.0%増加と堅調に推移している。ヨーロッパ方面は東欧諸国やフランスが好調で、前年比2.5%増加する予測。以上からこの夏休み期間中の海外旅行人数は283万人(前年比+4.1%)、一人あたりの旅行平均費用は214,500円(前年比▲0.7%)と推計する。海外旅行人数に関しては、これまで最高だった2012年の276万人を超え、過去最高となる。
JTBの海外パッケージツアー「ルックJTB」の予約状況によると、2018年度グローバルディスティネーションキャンペーンを実施しているオーストラリアが好調に推移している。全体的な出発日のピークは、8月11日(土)、8月12日(日)で、ハワイやオセアニア、アジアなどの方面では、出発日が分散し、7月末や8月末の出発も目立つ。旅行代金が比較的安くなる時期をねらって旅行する様子も見られる。
2. 国内旅行人数は7,460万人(前年比±0.0%)、一人あたりの旅行平均費用は34,000円(前年比▲1.2%)。出発日のピークは8月11日(土)~8月15日(水)
一方国内旅行は子供づれの家族旅行が多いため、景気などの影響を受けやすいことから、この夏については、人数は昨年並みの7,460万人(前年比±0.0%)、費用は抑え気味の34,000円(前年比▲1.2%)であると推計する。前述のとおり、足元の雇用環境の改善とは裏腹に、今後の生活への経済的な不安感は継続していると考えられる。
同アンケートでどのような旅行をする予定か聞いたところ、旅行の同行者は「子供づれ(中学生まで)」が36.9%と前年より1.5ポイント増加している(表6)。旅行の目的は「帰省、離れて住む家族と過ごす」が22.4%(前年比+1.4ポイント)と最多だが、「海辺で保養、海水浴」「ハイキング•登山•キャンプ等」も増加している(表7)。宿泊施設は「ホテル」が44.8%(同▲1.6ポイント)、「旅館」が23.5%(同▲1.9ポイント)と前年より減少し、「民宿・ペンション」や、キャンプ場やロッジなどの「その他」が増加した(表8)。利用交通機関では「乗用車」「レンタカー」は減少し、「航空機」は増加となった(表9)。
旅行日数は「1泊2日」45.3%(同+2.2ポイント)と「3泊4日」14.0%(同+3.0ポイント)が増加し、「2泊3日」32.6%は前年より2.8ポイント減少した(表10)。一人あたりの旅行費用で多かったのは、2万円未満(22.1%)と3万円未満(22.7%)だ(表11)。以上から今夏は、帰省を兼ねた子供づれの旅行が多そうだ。旅館やホテルの利用が減少し、テーマパーク•レジャー施設も前年から減少していることから、旅行はするが節約したいという気持ちが表れていると思われる。
国内旅行先では、沖縄(4.7%)、東北(11.0%)、北陸(5.8%)などが前年より増加している(表12)。JTB総合研究所が行ったインターネット調査で、国内旅行先を選んだ理由を聞いたところ、北海道、東北、中国四国、九州は「帰省先」、北陸、東北は「行きたい旅行先がある」、甲信越、東海は「泊まりたい宿泊施設がある」、関東は「参加したいイベントの開催地」が多くなった。また、同調査で「今年の夏休みで気になっている場所」を聞いたところ、「食をメインにしたイベント」が最も多くなった。夏休みらしく「花火大会」「動物園や水族館」などファミリーが行きやすい場所が人気だ。
JTBの国内パッケージツアー「エースJTB」の予約状況によると、出発日ピークは8月11日(土)~8月15日(水)となっている。ファミリーでリゾートを満喫することができる沖縄の離島や4月に名古屋にオープンした「レゴランド®・ジャパン・ホテル」に泊まるプランなどが人気だ。
<旅行動向アンケート 調査方法>
調査地点: 全国200地点
調査実施期間: 2018年6月1日~13日
調査対象: 全国15歳以上79歳までの男女個人
サンプル数: 1,200名
調査内容: 2018年7月15日から8月31日に実施する1泊以上の旅行
調査方法: 調査員による質問用紙を使った個別訪問調査