2014.09.30(金)
松本市の飲食店で食中毒発生
カンピロバクターが病因だ!
患者は全員快方に向かう

 30日、松本保健所は松本市内の飲食店「凡蔵」(ぼんくら)を食中毒の原因施設と断定し、この施設に対し9月30日から10月2日まで、3日間の営業停止を命じた。患者は9月18日及び9月20 日にこの施設で食事をした6グループ141名中の6グループ 51名で、松本保健所が行った検査により、患者便及び調理従事者便からカンピロバクター・ジェジュニが検出された。なお、患者は全員快方に向かっている。
 この食中毒は9月24日、松本保健所に松本市内の医療機関から「9月18日に松本市内の飲食店を利用した同施設の職員20数名中10数名が下痢、悪心、発熱の症状を呈している」旨の連絡があった。さらに9月25日、松本保健所に患者から「9月20日に松本市内の飲食店を20数名で利用したところ、9月23日頃から10数名が下痢、発熱等の症状を呈している」旨の連絡があった。
 松本保健所による調査結果によると、患者は9月18日及び9月20日にこの施設で食事をした6グループ141名中の6グループ 51名(松本市、安曇野市、塩尻市等在住)で、 9月19日午後9時頃から下痢、腹痛、発熱等の症状を起こしていた。
 患者はこの施設で調理された食事を共通して喫食していたこと、松本保健所が行った検査により患者便及び調理従事者便からカンピロバクターが検出されたこと、患者の症状はカンピロバクターによる食中毒の症状と一致していたこと、患者を診察した医師から食中毒の届出があったことから、松本保健所はこの施設で調理された食事を原因とする食中毒と断定した。
 参考までに患者らへ提供された主なメニューは、鳥わさ、牛のしゃぶしゃぶ、鳥唐揚げ、カルパッチョ、かに玉、もつ焼き、漬物、飲料等であった。
 今回の長野県内(長野市含む)における食中毒発生状況は、平成26年度 (内 長野市)12件 (1件)1,304 名(速報値) (8名)、平成25年度 (内 長野市)20件 (3件)となった。
 カンピロバクターによる食中毒の特徴。カンピロバクターはニワトリ、ウシ、ブタなどの腸管内に存在している。これらの家きん、家畜を、食肉として解体する際に、処理された食肉の表面を汚染すると考えられている。中でも鶏肉は高率にこの菌に汚染されている。熱や乾燥に弱く、常温の空気中でも徐々に死滅するが、他の食中毒菌に比べて少量でも食中毒を起こすという特徴がある。
 食肉を生や加熱不足で食べることにより発生することが多く、特に注意が必要な食中毒原因菌である。 また、野生動物などに汚染された沢水や井戸水などにおける消毒の不備による水系感染もある。
 症状は潜伏期間は1〜7日(平均2〜3日)と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気などの症状が現れる。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン•バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されている。特に幼児や高齢者など体の抵抗力が弱い方は、重篤な症状となることがあるので注意が必要だ。
 予防方法は鶏肉などを調理する際は、十分に加熱調理し、生では食べない。また、生肉を扱った手やまな板、包丁などはカンピロバクターが付いている可能性があり、きちんと洗浄•消毒しないと他の食品を汚染してしまうことがある。これらの生肉を扱った調理器具等は必ず洗剤でよく洗ってから、熱湯や塩素系の漂白剤などで消毒する。
 焼肉などをするときは、生焼けに注意するとともに、生肉用の取り箸と食べるための箸を使い分ける。沢水や井戸水を使用している施設では、衛生管理を徹底し、塩素消毒が実施されていることを確認する。
 お問い合わせは松本保健所食品•生活衛生課 食品衛生係(次長)村松秀雄 (課長)斉藤邦昭 (担当)大和真一まで(電話0263-40-1942〈直通〉0263-47-7800(内線2151) FAX0263-47-9293)。
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