2014.06.07(土) |
松本市の飲食店で食中毒発生
患者便からウエルシュ菌検出
患者は全員回復しています
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7日、松本保健所は松本市内の医療機関内の飲食店「ル・シール」((株)大滝)を食中毒の原因施設と断定し、この施設に対し6月7日から6月9日まで、3日間の営業停止を命じた。
患者は6月1日にこの施設で職員専用の食事をした当該医療機関の職員等48名中の34名で、松本保健所が行った検査により、患者便からウエルシュ菌が検出された。なお、患者は全員回復している。
この食中毒は6月2日、松本保健所に松本市内の医療機関から「6月1日昼に病院内の飲食店を利用したところ、職員約20名が6月1日から下痢、腹痛、吐き気等の症状を呈した」旨の連絡があっ た。
松本保健所による調査結果によると、患者らは6月1日にこの施設を利用した職員等48名中の34名(松本市、安曇野市等)で、6月1日午後3時30分頃から下痢、腹痛等の症状を呈していた。
患者らはこの施設が提供した職員専用の食事を共通して喫食していたこと、松本保健所が行った検査により、患者便からウエルシュ菌が検出されたこと、患者らの症状はウエルシュ菌による食中毒の症状と一致していたこと、患者を診察した医師から食中毒の届出があったことから、松本保健所はこの施設で調理された食事を原因とする食中毒と断定した。
参考までに患者らへ提供された主なメニューは、里芋のそぼろ煮、豆腐ハンバーグ、ピーマン肉詰めフライ、イカリングフライ、山菜ピラフ、みそ汁、キャベツ千切り、漬物、抹茶パンケーキ、グレープフルーツであった。
長野県内(長野市含む)における食中毒発生状況(本件含む)は、平成26年度 (内長野市)4件 (1件)
403名(8名)、平成25年度(内長野市)20件(3件)542名 (33名)となっている。
~~ ウエルシュ菌による食中毒 ~~
[特 徴]
ウエルシュ菌はヒトや動物の腸管、土壌など自然界に広く住み着いている。この菌は酸素を好まない(嫌気性)菌で、芽胞(がほう)と呼ばれる胞子のような形態をとることがあり、その状態だと熱や乾燥に非常に強い特徴を持っている。食品を大釜などで大量に加熱調理すると、中心部が無酸素状態になり、芽胞の状態で生き残ったウエルシュ菌が適温になると発芽し、活発に発育を始める。こうしたウエルシュ菌が多数増殖した食品を人が食べることにより、食中毒を発症する。
[症 状]
潜伏期間は6~18時間と比較的短く、その主な症状は水様性の下痢と腹痛。多くは1~2日で回復し、特別な治療は必要ない。
[予防方法]
カレー、シチューなどの煮込み料理や野菜の煮物は、調理したらなるべく早く食べるようにする。一度にたくさん作った時は、本菌の発育しやすい45°C前後の温度を長く保たないように注意する。それを防ぐには小分けしてから急速に冷却(15°C以下)し、冷蔵もしくは冷凍保存する。また、食品を温め直すときは、かき混ぜながら中心部まで十分に火が通る(75°C以上)ようにする。「加熱したから大丈夫」といった過信は禁物である。