2014.03.04(火)
消費増税前の消費トレンドは、主婦の6割が「買いだめ・まとめ買い」予定キーワードは“定番商品”「サントリー 金麦」「日清 カップヌードル」など

 生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、「消費増税前の買いだめ・まとめ買い」をテーマにレポートしている。
 4月の消費増税まで1ヶ月を切り、各業界で「買いだめ・まとめ買い」などの駆け込み需要が膨らんでいる。この駆け込み需要は、3月中旬から下旬にかけて最大化するとの意見も多く、消費者、企業ともに注目を集めている。
 今回トレンド総研では、消費増税前の「買いだめ・まとめ買い」をテーマに、主婦への意識・実態調査や各企業の取り組み、トレンドの専門家である商品ジャーナリストの北村森氏のコメントなどを紹介している。

■ 1.【意識調査】 買い物上手な主婦たちの、増税前の消費行動

 はじめに、消費増税前の主婦の意識を探るため、「消費増税前の買いだめ・まとめ買い」をテーマにした意識・実態調査をおこなった。
 調査名は「消費増税前の買いだめ・まとめ買い」に関する意識・実態調査。調査対象は30~49歳の主婦500名。※事前調査で「自分はとても“買い物上手”である」と回答した方。調査期間は1月30日(木)~1月31日(金)、調査方法はインターネット調査。
◆増税前に・・・買い物上手な主婦の6割が「買いだめ・まとめ買い」予定 
 まず、「消費増税前に、買いだめ・まとめ買いをしようと思いますか?」という質問をしたところ、「しようと思う」と答えた人が61%、「すでにした」と答えた人が3%という結果に。合計すると、買い物上手な主婦の64%が「買いだめ・まとめ買い」をする意向がある。

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 「買いだめ・まとめ買い」をする予定の商品としては、「トイレタリー・バス用品」(65%)、「保存食品・冷凍食品」(57%)、「調味料」(56%)、「化粧品」(49%)、「お酒(ビール・発泡酒・新ジャンル)」(43%)が上位となった。
 さらに、具体的に購入予定のブランドについて聞くと、「トイレタリー・バス用品」では、「エリエール」「ネピア」などのトイレットペーパー・ティッシュペーパー類が多い結果に。「保存食品・冷凍食品」では、「ニチレイの冷凍食品」や「日清 カップヌードル」などが多く、「お酒(ビール・発泡酒・新ジャンル)」では、「サントリー 金麦」が最も多い結果となった。全てのジャンルにおいて、定番のブランドが支持される傾向があるようだ。
 また、「買いだめ・まとめ買い」をする際に商品を選ぶポイントについて聞くと、「いつも購入している商品」との回答が最も多く89%。以下、「定番(定評のある)商品」(40%)、「セールをしている商品」(37%)と続いた。普段は新製品や限定品など、なじみのない商品を「試し買い」していても、増税前のまとめ買いのときには、「いつも購入している定番商品」を選ぶという実態が浮き彫りとなった。
◆失敗しない「買いだめ・まとめ買い」のコツ
 1位は「いつも購入している商品を買うこと」。次に失敗しない「買いだめ・まとめ買い」のコツについて聞いたところ「いつも購入している商品を買うこと」が最も多く64%。「家での消費量を把握すること」(53%)、「賞味期限・消費期限をチェックすること」(49%)などを上回る結果となった。

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 消費増税前の「買いだめ・まとめ買い」のメリットとしては、「消費増税分(3%)を節約できる」(78%)のほか、「まとめ買い用セット商品やセールなどでお得な買い物ができる」(36%)、「買い物に行く回数が減るので、余計な買い物をしなくてすむ」(27%)など、増税分の節約以外のメリットを感じるという声も。
 また、主婦の7割が「消費増税前の買いだめ・まとめ買いは、賢い消費である」と答え、「買いだめ・まとめ買い」は、3月の中旬から下旬にかけて、「いつも購入している定番商品」を中心にますます加速しそうだ。

■ 2.【企業動向】メーカー、流通各社注目の取り組み

 消費増税前の「買いだめ・まとめ買い」需要をみこし、各企業も取り組みを強化している。メーカー、流通大手各社の注目の取り組みを紹介する。
◆「サントリー 金麦」、定番のカレールウをセットにしたケース商品を展開
 2007年の発売から6年連続で過去最高販売数量を更新した「サントリー 金麦」。今回の意識調査で、ビール系飲料のカテゴリにおいて、「まとめ買い・買いだめ」する予定のブランド1位の結果がでていることからも、その人気の高さがうかがえる。
 サントリー酒類では、増税前の「買いだめ・まとめ買い」をみこし、2014年1~3月の生産計画を対前年で1割増強。さらに2014年3月18日(火)からは、金麦1ケース(24本)に対して江崎グリコ「2段熟カレー<中辛>4皿分」2個を外付けした商品と、金麦2ケース(48本)に対して江崎グリコ「2段熟カレー<中辛>4皿分」5個を内包した商品の2種類を特別発売。定番ブランドの「2段熟カレー」とセット販売をすることで、3月下旬の「買いだめ・まとめ買い」の促進をはかっている。

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◆ ダイエー、日用消耗品を中心にセールを毎週開催
 大手流通のダイエーでは、日用消耗品を中心としたセール「増税前まとめて買えばお買い得!!」を2月15日から3月下旬まで毎週実施している。対象は同社グループ285店舗。2月20日~25日の6日間は、「カウンセリング化粧品 厳選商品」をメーカー希望小売税込価格の30%OFFで販売するとともに、ポイントを通常の10倍付与。
 この他に「キャットフード・猫砂」の購入者には通常の20倍、「大人用紙おむつ」の購入者には、通常の10倍のポイントを付与するなどのセールを実施した。以降も、対象商品の拡大や企画内容を変えながら、3月下旬まで毎週開催する予定だ。

■ 3.【インタビュー】商品ジャーナリストの北村森氏に聞く「増税前の消費行動予測」

 最後に、トレンドの専門家である、商品ジャーナリストの北村森氏に、今回の消費増税に対する消費者の行動について意見を伺った。
◆賢くなった消費者、自分が良いと思う商品を冷静に見極めて買う
 今回の消費増税に関しては、消費者は「冷静な消費行動をとる」と考えています。その理由としては、2010年~2011年の「家電エコポイント騒動」などを経験し、「今すぐ買う必要のないものを無理に買う必要はない」ということを学んだこと。もうひとつは、買い物は「真剣勝負」の時代になっているということです。
 特に今年の消費者は、「買うときは多少値の張るものでも買う」「締めるところは締める」という両輪で動くと思っています。なぜ「締めるところは締める」消費ができるかというと、すでに答えは去年に出ています。低価格なのにとても品質が良い商品、「これで良い」というよりは「これが良い」と思える商品が、まるで今回の消費増税をみこしたかのように、各分野で話題を集めた。
 例えば引き続き好調な「新ジャンルのビール系飲料」や、言葉が定着しつつある「ジェネリック家電」、北欧発の雑貨店をはじめとする「プチプライス雑貨」。こういった低価格なのに十二分な満足度を得られる商品が消費者の心をつかみ、「締めるところは締める」といった消費ができるのです。
 また、97年のメディア各社の報道は、「消費増税前に買いましょう」という論調がほとんどでしたが、今回は「消費増税前に買った方がいいもの、買わなくていいもの」という特集が多く見られます。
 逆に言うと、「増税前に買った方がいいものも存在する」ということ。それは具体的に何かというと、4月以降も確実に使用するデイリーな商品。「4月以降も確実に消費するものであれば、リスクはないので増税前に買う」といった具合に、消費者は メディアにあおられて買うのではなく、「これが良い」と確信できる商品を、ムダなく見極めて、賢く「買いだめ・まとめ買い」をしていくと予想されます。

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 参考までに北村 森(きたむら・もり)氏は商品ジャーナリスト。「日経トレンディ」編集長時代から、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターとしても活動。退職後、商品ジャーナリストとして活動。原稿執筆、テレビ、ラジオ番組への出演、講演活動などとともに地方自治体と連携する形で地域おこしのアドバイザー業務にも携わる。著書に『途中下車』(河出書房新社)、『ヒット商品航海記』(日本経済新聞出版社共著)等がある。
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