軽減税率は生鮮食品他一部で
平成28年4月から10%導入に
地方の外食消費は一段と低迷
2015.11.26
再来年の四月の消費税率一〇%への引き上げと同時導入する軽減税率は、社会保障と税の一体改革の枠内の財源(四千億円)で議論されている。自民党案は軽減税率8%のまま、生鮮食品(精米も含む)の他に、加工食品のめん•パン類(菓子パンや調理パンは「パン類」、マカロニは「めん類」)の一部を加え、米と合わせて「めん類・パン類」を日本の3大主食を対象とすることで、痛税感の緩和を図るとしている。
これに対して公明党は「生鮮食品及び加工食品全般まで軽減税率に含め、痛税感の緩和を図りたい」と両党のせめぎあいが続いているが、政府案及び自民党案に押し切られそうな雰囲気である。昨日も自民党の谷垣禎一幹事長と公明党の井上義久幹事長と会談した際に、公明党は対象品目の大幅拡大を求め、自民党は段階的に対象拡大を検討し、それまでの間は給付金で低所得者の負担軽減を図る案を提案しているが、平行線のままのようだ。
いずれにせよ、地方経済は景気回復やデフレ脱却の傾向が見て取れないし、消費減退は今も続いている。ましてや一般飲食店や外食産業においては、消費税八%導入後以降がどんな状況をもたらしたかは言うまでもない。再来年の四月以降は否が応でも「構造的激変」を迎えるだろう。
混迷、いや昏迷の飲食業界。ここ数年目立っているのは、売上げ確保のために他所で売れているメニューを何でも導入する飲食店が多いことだ。夫々のお店のコンセプトやポリシーがなくなり、そこにメニュー戦略が見えて来ない。
取材する立場でメニューについて申し上げると、まずメニュー名、価格、売れ個数、売れる客層、売れる時間帯、材料原価、そしてどのようなお店なのか、立地を含めてこのメニューは店にとってどのようなメリットがあるのか等を尋ねる。
また、調理方法では材料、作り方、盛り付け方法、器使い、全体的なバランス、他店との作り方の違い、無駄を省く工夫、材料ロスを防ぐ工夫等である。この他にも何故にこのメニューを作ったか。具体的にはメニューの位置付け(看板メニュー、売れ筋メニュー、他店との差別メニュー)や店の格付けメニューを尋ね、問いかける。
ここで繁盛店の条件についても少し触れておこう。五つの要素のバランスを取っていくこと大事だ。その要素は「サービス」「雰囲気」「味」「メニュー•商品」「価格」である。このようにお店のポリシーやコンセプト、メニュープランはこうして生まれて来る筈だ。また、生業店も体験と勘でそうしている筈である。売れるメニューならば何でも導入するという飲食店は、「背に腹はかえられぬ」ということなのであろう。先般の英国と中国の外交を観ている想いだ。暗雲漂うというか本当に世の中が暗く見えてならない。
先日、シンガーソングライターであるko-koさんの「最後の晩餐」や「手と手と手」などの歌を聴くことが出来た。ko-koさんはがんと共存しながら 「好きな歌を歌いたい」 という強い気持ちを持ち 「歌とともに楽しく生きる」 と決意した方だ。彼女の底抜けの明るさと聴く人の心をふんわり包む歌声は、がんと闘っている人だけでなく様々な悩みを持つ沢山の人達に届いていた気がする。癌を抱えながら、とことん追い込まれても二人の子供を育て、楽しくパワフルに活動している彼女に深い感銘と勇気を頂いた。飲食業界の方たちにもko-koさんの歌声をもっと聞いて欲しいと思った。