飲食産業新聞

茅野市の飲食店でカンピロバクターによる食中毒発生


2013.12.16(月曜日)

 諏訪保健所は16日、茅野市内の飲食店「やきとり ゑびす」を食中毒の原因施設と断定し、この施設に対し平成25年12月16日から12月18日まで、3日間の営業停止を命じた。
 患者は11月29 日にこの施設で食事をした1グループ4名中の4名で、松本保健所が行った検査により、患者便からカンピロバクター・ジェジュニが検出された。なお、患者は全員快方に向かっている。
 事件の探知は12月4日、諏訪保健所に茅野市内の住民から「11月29日に4名で当該施設を利用したところ3名が体調不良を呈した」との連絡があった。また、12月11日に茅野市内の医療機関から「カンピロバクター胃腸炎患者を診察した」旨の届出があった。
 諏訪保健所による調査によると、患者は11月29日に同施設で食事をした1グループ4名中の4名(茅野市、諏訪市在住)で、11月30日午前8時30分頃から下痢、腹痛、発熱等の症状を呈していた。患者はこの施設が提供した食事を共通して喫食。松本保健所が行った検査により、患者便からカンピロバクター・ジェジュニが検出され、患者の症状はカンピロバクター食中毒の症状と一致していた。また、患者を診察した医師から食中毒の届出があったことから、諏訪保健所はこの施設の食事を原因とする食中毒と断定した。
 患者らへ提供されたメニューは、焼き鳥(鶏レバー、ハツ、せせり、もも肉、ねぎま、軟骨、ぼんじり)、鶏肉のしそ巻き、鳥スープ漬け、焼きおにぎり、焼き鳥丼、生ビールだった。
 参考までに長野県内の食中毒発生状況は、平成25年度 (内長野市)13件(2件)340名(10名)、平 成24年度(内長野市)19件(1件)520名(15名)となっている。


カンピロバクターによる食中毒の特徴
 カンピロバクターは、ニワトリ、ウシ、ブタなどの腸管内に存在している。これらの家きん、 家畜を、食肉として解体する際に、処理された食肉の表面を汚染すると考えられる。中でも鶏肉は高率にこの菌に汚染されている。
 熱や乾燥に弱く、常温の空気中でも徐々に死滅するが、他の食中毒菌に比べて少量でも食中毒を起こすという特徴がある。食肉を生や加熱不足で食べることにより発生することが多く、特に注意が必要な食中毒原因菌だ。また、野生動物などに汚染された沢水や井戸水などにおける消毒の不備による水系感染もある。
 症状は潜伏期間が1~7日(平均2~3日)と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気などの症状が現れる。幼児や高齢者など体の抵抗力が弱い方は、重篤な症状となることがあるので、特に注意が必要だ。
 予防方法では、鶏肉などを調理する際は、十分に加熱調理し、生では食べない。また、生肉を扱った手やまな板、包丁などはカンピロバクターが付いている可能性があり、きちんと洗浄・消毒しないと他の食品を汚染してしまうことがある。これらの生肉を扱った調理器 具等は必ず洗剤でよく洗ってから、熱湯や塩素系の漂白剤などで消毒する。
 焼肉などをするときは、なま焼けに注意するとともに、生肉用の取り箸と食べるための箸を使い 分ける。沢水や井戸水を使用している施設では、衛生管理を徹底し、塩素消毒が実施されていることを確認する。