松本市内の旅館で食中毒発生
アニサキス(寄生虫)が原因
2013.12.12(木曜日)
松本保健所管内の旅館でアニサキス(寄生虫)による食中毒が発生した。12月12日、松本保健所は松本市内の旅館「合資会社旅館すぎもと」を食中毒の原因施設と断定し、この施設の主厨房に対し平成25年12月12日の1日間の営業停止を命じた。
患者は12月7日にこの施設で食事をした1グループ93名中の1名で、患者が受診した医療機関において、患者の胃から寄生虫のアニサキスが摘出された。なお、患者はすでに回復している。
患者本人から10日に「12 月7日に当該施設で行われた宴会で刺身を喫食したところ、数時間後から吐き気及び胃痛の症状を呈した。医療機関を受診したところ胃からアニサキスが摘出された」との連絡があった。
松本保健所による調査結果によると、この男性患者は12 月7日に同施設で食事をした1グループ93名中の1名で、12 月7日午後11時頃から吐き気及び胃痛の症状を呈していた。患者が12月4日以降で海産魚介類の生食をしたのは同施設だけであった。医療機関による内視鏡検査で、患者の胃からアニサキスが摘出され、患者の症状はアニサキスによる食中毒の症状と一致した。これらのことから、松本保健所はこの施設の食事を原因とする食中毒と断定した。
患者らに提供されたメニューは、しめサバ、イカ・ブリ・マグロ等の刺身であった。
参考までに長野県内(長野市含む)における食中毒発生状況(本件含む)は、平成25年度(内長野市)11件(2件)289名(10名)、平成24年度(内長野市)19件(1件)520名(15名)となっている。
アニサキスによる食中毒の特徴は、海産魚介類や海産哺乳類に寄生する寄生虫である。アニキキス食中毒の原因となるのはこの幼虫で、サバやイカなどの内臓や筋肉に寄生している。アニサキス幼虫を生きたまま摂取すると、胃壁や腸壁に侵入することがあり、アニサキス症をおこす。
症状は潜伏期間の早いもので1時間、遅いもので36時間だが、約7割は8時間以内に発症する。
症状は、激しい胃痛、吐き気、嘔吐等で、胃壁等に侵入している虫体を取り除けば回復する。
主な原因食品は、魚介類(サバ、アジ、イカ、サンマ等)の刺身のほか、酢漬けや醤油漬けも原因食品となる。
予防方法は・アニサキスは加熱に弱いので、魚介類は中心部までよく加熱する。・アニサキスは-20°Cで48時間以上の冷凍で死滅する。・アニサキスは魚の内臓に寄生することが多いので、生食するときは内臓を除去する。・調理の際は細かく切る、よく噛んで食べるなどの方法も有効だ。・魚を調理する際は、明るい所で行い、寄生虫がついていないかよく確認する。